かけ算には順序があるか?~学習指導要領とZ会の場合~

2011.12.27

ライフ・ソーシャル

かけ算には順序があるか?~学習指導要領とZ会の場合~

寺西 隆行
(株)Z会

「6×8は正解でも8×6はバッテン?」…娘さんが×(ペケ)にされてしまったかけ算の問題を取り上げ、「かけ算に順序があるのか?」とWeb上が大いに盛り上がったここ数日。 いろいろな解釈はあるのですが、自分が記事をしたためることに意味をもたせるために… ここでは「学習指導要領」「教科書」、そして弊社(Z会)が「どうしているか」について述べてみます。

6×8は正解でも8×6はバッテン?あるいは算数のガラパゴス性」で取り上げられたシチュエーションにおいても、児童の「えーなんでー!」を引き出し、「なんでー」に対してしっかり説明し、乗法の意味を分からせる、という「材料」として“「テスト」で「ペケ」”という行為を行うのであれば、理解できる行為ともいえますよね(くどいようですが、良いか悪いかという主観的判断は除いています)。
まあ、その可能性は薄いかもしれませんが…(苦笑)

なんにせ、「(順番が逆なものを、説明もなく)単に×にする」だけは、ダメですよね。
学習指導要領の目指すところを目指していない上、数式としては正しいことを×にしているわけですから。

◆Z会の指導はどうしているか

Z会の小学生コース2年生向け
http://www.zkai.co.jp/el/course/index2.html
の教材には、保護者が学習の伴走者としても、温かく見つめられるように、各教科の教材について(保護者向けの)『サポートブック』がついています(大きな特長です!)。
こちらには、「乗法」が登場する場面で、次のような記述があります。

===============
今のような導入段階では、「2×3」は「2+2+2」、「3×4」は「3+3+3+3」の意味で統一しておくのがよいでしょう。

(中略)

 「1束に5本ずつ4束分」を表すのに、「4×5」としても、数学的な見地からいえば、誤りではありません。なぜなら、かけ算には、a×b=b×aという性質(交換法則)があるからです。内容を理解していれば、、a×bとb×aは本来どちらでもいいわけです。
 一方、かけ算の導入段階では、「1束に5本ずつ4束分」は「5×4」であって「4×5」ではない、と教えるのが一般的です。というのも、「a×b」を「1つ分の数×いくつ分」として定着させることが、かけ算の意味を理解するためには必要なことだからです。したがって、小学生コース2年生においても、かけ算に慣れるまでは、a×bとb×aの意味の違いを意識した指導を行っていきます。
 なお、国によっては、「a×b」を「1つ分の数量×いくつ分」ではなく「いくつ分×1つ分の数量」tとらえているところもあり、世界共通の絶対的なルールというのが存在するわけではありません。
===============

そして、実際の添削指導では、

・乗法の導入段階で(上記で言う)「5×4」を「4×5」と表記してあったら、「○」にした上で「乗法の意味を理解できていますか?“5×4”とすることが多いんだよ」などのコメントを入れる。
・3年生以降であれば順序の入れ替えはコメントもせず無問題とする

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寺西 隆行

寺西 隆行

(株)Z会

文部科学省広報戦略アドバイザー 経済産業省「未来の教室」教育・広報アドバイザー 三島市GIGAスクール推進アドバイザー 等

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