「6×8は正解でも8×6はバッテン?」…娘さんが×(ペケ)にされてしまったかけ算の問題を取り上げ、「かけ算に順序があるのか?」とWeb上が大いに盛り上がったここ数日。 いろいろな解釈はあるのですが、自分が記事をしたためることに意味をもたせるために… ここでは「学習指導要領」「教科書」、そして弊社(Z会)が「どうしているか」について述べてみます。
・「乗法が用いられる場合とその意味」
乗法は、一つ分の大きさが決まっているときに、その幾つ分かに当たる大きさを求める場合に用いられる。つまり、同じ数を何回も加える加法、すなわち累加の簡潔な表現として乗法による表現が用いられることになる。
・乗法に関して乗数が1増えれば積は被乗数分だけ増えるという性質や、乗法についての交換法則について児童が自ら調べるように指導する。
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これらが身につき、できるようになることが目標であって、教える側は「そのためにどうするか」を考えなければいけません。
では、「6×8は正解でも8×6はバッテン?あるいは算数のガラパゴス性」にて取り上げられた問題を見てみましょう。
「8人にペンをあげます。1人に6本ずつあげるには、ぜんぶで何本いるでしょうか。」
「6本」というまとまり(=指導要領でいうところの「一つ分の大きさ」)が8人分(=同「その幾つ分」)あるので、6+6+6+6+6+6+6+6=48と書いて計算するよりも、6×8=48、って書いた方が早いしラクだよね、と理解し、その上で、「6×8は48!」とぱっ!とでてくるようになることが、乗法の学習における標準的到達点であり、さらに「乗数が1増えれば積は被乗数分だけ増える」ことや「乗法についての交換法則」について児童自身が調べ、理解を深めるところが応用といったところですね。
ですから…少し誤解を招いてしまうと申し訳ないのですが、それでもあえて申し上げるなら…
6×8=48 を 8×6=48 と書いて○にするか×にするか、は、「指導法」の問題と捉え(ることもでき)、上記のことを「理解していない」と感じれば×とする「指導法」は、理解の一助とみなすのであれば「存在することもある」
わけです(それが良いか悪いかは別にして)。
「あー8と6があって、「かけ算」のところだから単純に8×6=48とかけばきっとあっているだろうなー」と(児童に、テストで)「やられて」しまっては(学習指導要領で身につけさせる力として期待されていることを、テストでできているかどうかを見る、という見地からは)マズイ、というわけで。
しかし、ここで1つ問題が生じます。
「6×8=48 に 交換法則を適用して(=学習指導要領にも書かれていることなので)8×6=48 となることも分かっていて書いているかも」とか、そんな小難しいことではなくて(苦笑)…
児童が「6本というまとまりが8人分ある」と理解していることを「表現する」形として、8×6=48としていることを否定できないからです。
学習指導要領でも、「一つ分の大きさ」について、先に書けとも後に書けとも誘導していませんからね。
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