2012年、企業が注目すべきは「感情」という動力

2011.12.23

経営・マネジメント

2012年、企業が注目すべきは「感情」という動力

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

人を動かすのは「感情」という動力。ビジネスは損得勘定ではない。2012年、勝ち組企業の決め手は、「感情」という動力にあり。

そして、その動機は、まさしく「人を幸せな気持ちにさせるため」なのです。決して、「もっと買ってもらうため」が動機になっているのではありません。

優れた顧客サービスについては、いろいろな本が書かれています。
しかし、これらの本の多くが焦点を置いているのは、
「より多くの顧客にリピート購入してもらうため」
「口コミしてもらうため」
「売上を上げるため」
顧客サービスをよくする、ということです。

ザッポスでは、これとはまったく異なる姿勢をとっています。
ザッポスが目指しているのは、あくまで、「人に幸せを届ける」ことであって、その副産物として、「リピート購入」や「口コミ」や「売上」がついてくると考えています。このふたつは、似ているようでいて実は大違いです。

先に述べたのは、「サービスのROI」という考え方です。
「優れたサービスを提供することで見返りを得る」という考え方をするとどうなるかというと、「見返りがない」と判断した途端にサービスの提供をやめることになります。

例えば、たくさん買ってくれる人を「優良顧客」と定義して、サービスに差をつけるとか、そういうことが起こります。この発想がそもそもザッポスにはないのです。

実際に靴を買ってくれる気がなさそうなお客さん相手でも、その人を「ハッピーにするため」に必要とあらば8時間半も電話につきあったりします。「ROI」という発想だったら到底できないことですよね。

感情という動力


すべての会社がザッポスの真似をしなくてはならないというわけではないし、真似しても優位性にならないと思います。

そこを十分よく理解していただいた上で、強調したいことは、
「人類の歴史の中で、『感情』は常に大きなドライバー(動力)であったし、これからのビジネスでは、『感情』が最も大切な戦略的資源となる、ということです。」

社員の感情、お客さんの感情、パートナーの感情。
ポジティブな感情が集まれば、そこに大きな動力が生まれます。

昨今、話題になっているソーシャル・コマースも、SNSを利用してモノを売るか否かが焦点になるのではなく、人の「感情」が動力となってモノ/サービスが売れる、ということが焦点ではないかと思っています。

2012年に追求していきたいテーマのひとつです。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。

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