株価、あるいは、企業の価値を上げるのは大変である。キャッシュフローを増やしリスクを引下げることによって企業価値を高める方法の応用についてまとめる。
「株価を上げる方法」においてキャッシュフローとリスク(割引率)によって株価や全体の企業価値を考える方法をご紹介した【詳細】。キャッシュフローを増やすことやリスクを引下げることは難しい。特に、経営が過去からの延長線上にある時に企業価値を高めることは困難である。
メダカの群れを大きな水槽に入れて、水槽をガラスで仕切ると、メダカの群れは仕切られた範囲を泳ぐ。ガラスを外してもメダカはガラスがあった時と同じ範囲を群れて泳ぐ。このメダカの群れに別のメダカを1匹(尾)入れると、メダカの群れはやがて大きな水槽全体を泳ぐようになる。
こんな話を昔聞いたことがある。人間にも確かにそんな傾向がある。企業活動も同じである。本当に優秀な人材がいれば企業は変われるが、同質な組織に異質の人材が加わることはまれであろう。どん底まで落ちて企業が変わることはあるが、分かっていても変われないのが人間の悪いところである。様々な利害が関わる大組織では、さらに変化が難しくなる。
硬直的な組織、業界、社会に対して「第3のメダカ」の役割を果たすのはコンサルタントなどの外部のプロフェッショナルや客観的にモノゴトを判断できる投資家などである。それでも、「もっと売上を上げろ」、「もっと利益を上げろ」、「費用を下げろ」と迫っても、気配りが足りない、あるいは、信頼関係がなければ、なかなか企業は変わらないし、変われない。「分かっているよ」、「やっているよ」という心の声と「おっしゃる通りです」、「努力いたします」という表面的な返事が返ってきそうである。
目標・目的、ビジョンやミッションあるいは共通の価値観を見直すことで会社は変わる。事業の選択と集中など、戦略の変更によって企業価値は高まる。楽天や村上ファンドから不動産などの資産の有効活用を迫られたTBSの株価は大きく上昇している。計画通りにならないこともあるが、企業に合った計画が企業内部から自発的に実行される場合、改革は成功するし、株価も上がる。
経済や市場環境、また、組織内部の状況に関わるタイミング、環境・組織・戦略の適合性、組織を構成する人々の意識や感情、経営者・経営陣のリーダーシップなどが適切な状態にあれば企業価値は高まる。
思惑による需給関係の変化によって短期的に株価が上がることもあるし、なかなか改革が評価されずに株価が動かないこともある。株価が逆に下落することもある。我慢、辛抱、忍耐なども必要である。何もかも取り替えるのではなく、新たな精神的、心理的局面への移行を実現する進化が求められることもある。説明し難い泥臭さも避けられない。それでも困難を克服すれば、一時の困難は何事もなかったように感じられるものである。
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