経営を学ぶことはできるのだろうか?そもそも経営とは何か?どのように学ぶことができるのか?経営の基本について考えてみたい。
池袋や横浜でビジネススクールを運営していると、時々「経営を学ぶことができるのか?」という質問を受けることがある。その答えは「学ぶ」ということの定義による。経営について知識を丸暗記して、その通りに振舞えば上手くことが運ぶのかという意味であれば、そんなことは決してない。経営を学ぶことはできないことになる。一方で、訓練などによってより効率的・効果的な目標の達成やそのための組織の運営を心がけることができるのかという質問であれば、経営を学ぶことはできると言えるだろう。
経営者が経営者であるためには4つの要素が整わなければならない。それらは、1)資質、2)心構え、3)知識・能力、4)経験 である。資質とは、目標や目的、あるいは、ビジョンや使命感があるのかどうかということである。また、目標や目的などを継続的に追求するエネルギーがあるのかということでもある。心構えとは、正しい努力をする準備ができているかどうか、困難に立ち向かう覚悟があるかということである。知識や能力とは、資質に基づき、正しい努力によって得られる知的な蓄積や身体や思考に関わる特徴である。そして、これら3つの要素を有機的に結びつけてモノゴトを成し遂げた実績、そこから生まれる自信、あるいは、知恵やノウハウなども不可欠である。
経営は学べる。第1に、自分で直接経験することによって学べる。また、本や経験者の言葉によって疑似体験したり、知識やノウハウとして理解して、活用することができる。
経営は学ぼうという意思がなければ学べない。会社における昇進・昇格や起業や独立、あるいは、組織を運営しなければならない立場に偶然なることなどが経営を学ぶきっかけになるだろう。必要がないのに、経営を学ぶのであれば、それは教養としての知識にしかならない。それは能力や経験と結びついた本当の力にはならない。経営を学ぶ必要性を感じるような目標を持ったり、実際に困難に直面するなどして必要に迫られなければ、経営は学べない。経営は誰もが学びたければ、学べるものだが、誰もが学ぶもの、学ぶべきものではないようである。それでも経営に必要な知識や能力は、程度の差があるにしても日常生活において不可欠なものだと言える。家庭生活や家計のやり繰りを経営と呼ぶこともできる。必要な時に、自分に合った方法で経営を学びたいところである。
そもそも経営とは何か?個人の目標や目的を達成するための取り組みであれば経営とは呼べない。目標を達成するために周囲の人々を巻き込み、組織を動かすことが経営である。あるいは、複数の人々の利益となるような目的を実現するための活動が経営である。そこには、知的なもの、感覚的なもの、心理的なものなど様々な要素が絡み合っている。それらを適切に表現することは困難である。
経営を教えることは難しい。知識や教養としてではなく、その実践まで考えれば、教えることはほとんど不可能である。できるとすれば、自ら学ぶ、自ら気付くことを促すことまでである。それが本当の意味で専門科目を教えるということなのだろう。その一方で、経営などの専門科目を学ぶということは、適切な機会を得て自ら学ぶこと、自ら気付くことだと言えそうである。
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2007.11.03
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