震災対応 ~リスク管理とその現実、アシストの場合~

2011.04.14

仕事術

震災対応 ~リスク管理とその現実、アシストの場合~

喜田 真弓

2011年3月11日、太平洋三陸沖を震源としてマグニチュード9という大地震が発生し、その後20メートルを超える津波が襲うという大災害が日本を襲った。さらにはそれによって福島原子力発電所が停止、戦後最大の自然災害は世界に放射能汚染をもたらすほどの規模となり、発生から1ヵ月たった今でも予断を許さない状況が続いている。

アシストのサポートセンターでは、すべての製品の受付を市ヶ谷で行い、一旦受け付けた内容を製品別の対応状況をみながら製品別アサイン担当者が、市ヶ谷、大阪、宇部のメンバーへ割り振っている。受付の電話はフリーダイヤルになっており、通常は市ヶ谷で着信するが、着信先を大阪にすることもできる。しかし、サポートセンターの中では、市ヶ谷、大阪、宇部の地区別役割もあり、製品によっては、担当者がいない地区もあった。  

一般社員が自宅待機となった14日、星をはじめマネージャは出勤しているサポートセンターのメンバーの地区別振り分けを行った。
「まずは実家が名古屋以西のオフィスの近くで、そこから最寄りのオフィスへ通勤可能なメンバーは実家に戻ってもらうことにしました。その他、移動可能なメンバーを募り、とりあえず3月21日(月曜日)の連休明けまでのシフト体制を市ヶ谷以外でとれるようにしました。また、普段は営業やフィールド担当者、在宅勤務者が社内のネットワークへアクセスするために利用するSSL/VPNやモデムカードを、一時的にサポートセンターの自宅待機者へ貸与するなどの調整を行いました」

原子力発電所は冷却システムの回復ができず極めて不安定な状況が続き、プルトニウムも検出されるなど放射性物質が漏れ出したまま。いつになればどうなる、という見通しが全く立たない中で、いつまでも自宅待機というわけにはいかない。こうしてトッテンは22日からは自宅待機を解除し通常業務に戻すという苦渋の選択をする。

「22日からはほとんどのメンバーが通常の業務に戻りましたが、名古屋、大阪、福岡へ移動していたメンバーの一部には、自宅待機が延長される可能性もあったので22日も各営業所でサポート業務を行ってもらいました。今では震災前と同じ体制に戻っていますが、長期化の様相を見せる原発問題と計画停電などによる業務への影響を考慮し、サポートセンターをさらに分散化することを現在検討しています」

災害前と今を比べると、サポート件数ではまだ1割程度少ない状況だと言い、
「被災されたお客様の復旧作業はこれからかもしれません。今回のような大震災は二度と起きてほしくありませんが、まだ地震も続いていますし、原子力発電所で今後何が起こるかわかりません。ですからできる限りのことを考え、準備しておくべきだと痛感しています」と星。また今回の対応で星が一番苦労したのは短時間で移動してもらうメンバーを選定することだったという。

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