大災害を前に、マーケティングは何ができるのか?

2011.03.13

営業・マーケティング

大災害を前に、マーケティングは何ができるのか?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

自然の力は、圧倒的である。屁理屈をほざいているプランナーやマーケティングに関わる人間は、甚大な被害を出した東日本大震災を前に、自分の無力を思い知らされる。

一瞬にして街が消える。数千人の単位の人達が、波にさらわれる。津波に飲み込まれたのは、のほほんとかっこいいことを言い続けてきた私達の矮小な想像力である。

揺れる・・・。明日からも、私は、この口で「売れる仕組みづくり」「儲かり続ける仕組みづくり」がマーケティングなんですよって言うのだろうか。集客や売上げ貢献のための智慧を、いけしゃーしゃーとお披露目するのだろうか。

http://news.livedoor.com/article/detail/5410078/
ライブドアニュースのトピックスに掲載された「日本人のモラルに世界が驚く」というニュースには、13日の午前だけで、800近いコメントが寄せられている。勇気づけられる話のすべては、災害の現場の、ひとりひとりの「志」や「おもいやり」から出来ている。企画書なんて必要のない、すばらしい現場が、そこにはある。マーケティングに関わる私達は、なんと無力なのだろうか・・・。

経済成長が終わったとわかりながら、目の前にあるクライアントの成長戦略を語る。右肩下がりの時代なのに、成長を信じて競争戦略を説く。それを当たり前のようにやってきたマーケティングの前提が、今度こそ、根こそぎ変わってくると考える。

日本は、経済的に有史以来の移行期を迎えて混乱している。そこに、千年に一度と言われるような大災害が、この日本を襲った。高度な経済成長より、復旧や復興を望むことが当たり前になるだろう。富の収奪のための戦術は、いろんなメディアが暴くようになるだろう。行き過ぎた金銭信仰は、きっと止まる。蔓延している壊れた労働倫理にも、マイナスからの出発を前提にした現場の映像は、良い刺激を与えるに違いない。

これからのマーケティングは、「売れる仕組みづくり」ではない。「希望を語り、つくる」ことだ。「公助」「共助」のマーケティングとは何かを追求することが、マーケティングで喰っている私達の役目ではないだろうか。

だから、大災害を目の前に、途方に暮れるマーケティングのプロにならないために・・・お悔やみを言うこの口で、明日は、どう儲けるかの話をすることは止めることに決めた。

日本が揺れた。
みんなが揺れている。
いま何ができるかと問う自分自身に揺れている。
そして、
みんなが揺れた末の結果に、明るい未来が待っている。

被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。
不幸にして亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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