首都圏の自動改札故障事故を見て、思ったこと。
先日、首都圏のJRや私鉄の自動改札が一時的にダウンして、「キップや定期を持っていようがいまいが、誰でも改札を通り放題!」状態が数時間続く、という事件(事故?)があった。
どうやら原因は、コンピュータのプログラムにあったらしい。
ここで、ヘンリ・ペトロスキが『失敗学 デザイン工学のパラドクス』(青土社)で紹介している、《物理学者とエンジニアとコンピュータ・サイエンティストとがドライヴしていたところ、とつぜん車が煙を出してエンジンが止まった。物理学者は、問題はトルクが関係する理論的なものだろうと言った。エンジニアは機械的な問題で調整すれば直るだろうと言った。コンピュータ・サイエンティストは、みんな車を降りて一分間待ち、もう一度乗って再スタートをかけてみようと言った。》(p72)という冗談を思い出してしまったのだが、それはいいとして。
さらに、夕刊で取り上げられていた、ちょうどそのときキップを買っちゃった人のコメントに、「正直にキップを買った人が損をしたみたいで釈然としない」という趣旨のものがあり、「ああ、さもしい国・日本だなあ」と思ってしまったのも、いいとして。
(「さもしい国・日本」というのは、ぼくの周囲の一部ではやっている言葉です。たとえば、先のコメント。「正直にキップを買った人」は、別に損などしていない。正当に運賃を払っただけである。あえて言うなら、スイカなどで改札をスルーした人が、ちょっと得をした、だろう。他人の得が自分の損、という発想、これが「さもしい国・日本」の一形態です。やめればいいのに、そんな発想。)
これ(=改札のオープン)、すごくよくない?と思ったわけである(当日、おおわらわだった鉄道各社のみなさんには、申し訳ないが)。
入るのも出るのも、自由に改札をスルーできる。どんな電車にも、空いている限り乗ることができる。線路が続いている限り、どこまでもどこまでも行くことができる……なんか、ドキドキワクワクしません?
とりわけ、子どもたちにとっては、ものすごく魅力的な状態のような気がする。駅や列車って、何か心ときめくものじゃありませんでしたか?
あの自動改札故障事故のニュースを見て、損得勘定でも損得感情でもなく、「おお、楽しそう、おれもその場にいたかった!」と思った大人のかたも、多いんじゃないでしょうか。
鉄道会社各社さん、年に一日でもいいから、足並みを揃えて、「改札フルオープンデイ」といったもの、設けてみませんか?
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