経済協力開発機構(OECD)が実施し、57ケ国・地域で約40万人の15歳男女が参加した国際学力テスト「学習到達度調査」(PISA)の結果が発表され、「読解力」「数学的活用力」「科学的活用力」のいずれも芳しくない結果に。 結果だけを見ると「本を読ませなきゃ」「科学的発想力を身に付けさせなきゃ」という短絡的な話になりがちですが、本質的な欠落は別にあると感じています。
経済協力開発機構(OECD)は4日、15歳を対象とした2006年の国際学習到達度調査(PISA)の結果を世界同時発表した。日本は、数学的応用力で03年の前回調査の6位から10位に後退、得点も下がった。読解力も、大幅に落ち込んだ前回並みだった。科学への興味、関心がOECD平均に比べて低いことも判明し、「理数離れ」の傾向が鮮明になった。(時事通信社の記事より引用)
メディアに取り上げられたキーワードとして
・「理科に関心」最下位
・「理数離れ」が深刻
・数学的活用力、科学的活用力が低下
・(ゆとり教育で目指した)「生きる力」も育っていない
などが目立ち、ほとんどの論調は
「理科教育の充実を図るべき」
「ゆとり教育の失敗だ」
などとなっています。
前者については、代替案を示していないのが多く、案を示したところで「自然観察を通じて~」「わくわくできる実験教室を~」という“お決まり”の案になることが推測できます。
しかし、これらの試みは、(“お決まり”のように案として出てくる、ということは)これまでもそこそこ行われているわけであり、「今下がった」ことへの解決策として機能しないと思っています。
後者については、「またゆとり教育の失敗にしたがるメディアがいるよ~」って感じですね(苦笑)。
僕自身は、「ゆとり教育」の理念自体は賛成なんです。
基礎知識・基礎体力(学力的な意味合いでの)を身に付けさせた上で、応用部分を選択させる、ということは、決して否定されることではないでしょう。
ただ、子どもたちを取り巻く学校社会、地域社会、家庭での教育…などの基礎部分ができていないのに、いきなり運用を求めても、というところで、結果「失敗」になっただけで。
おおよそ、「ゆとり教育」のせいにする人は、子どもたちに対して「大人社会がしっかりしていないからなんだよね、ゴメンね」の姿勢が欠けている人が多いような気がしています(もちろん、そうじゃない人もいますが)。
話を戻して。
国際調査での学力低下の原因を、あえて一つに絞るのであれば、
「結果をスグに求める人が増えたから」
と考えています。
外部環境的、いわゆる「文化の進展」による要因では、インターネットの発達、とくに若年層では携帯電話の浸透により、コミュニケーション速度が格段に速くなったことがあげられます。
注)このことそのものを否定しているわけではありません。
10代や20代前半の方と、携帯メールのやり取りをしていて思うのは、「返事を求めるスピード」が上の世代と比べて格段に速いということです。
ときには「返事まだ~」なんて催促のメールがきたり(苦笑)
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