会社の福利厚生の一環、または社員交流の場として社内のクラブ活動を奨励している企業は少なくない。アシストでもテニス部や野球部、華道部など、いくつかのクラブが休日や就業時間のあとに自主的に集い、練習や試合、または先生を招聘して活動に励んでいる。その中でも、変わりダネの活動といえば、家庭菜園をメインとする「農業クラブ」と、就業時間後に社内で行われている「洋裁クラブ」かもしれない。
裁縫は女の仕事、といった固定観念のない1985年生まれの宮澤にとって、洋裁=女性がやるもの、ではなく、家庭を持ったら夫婦どちらもできるというのが良いという、手仕事の1つだったようだ。
「実際にやってみて、切る、縫うなどは想像以上に簡単で驚きました。難しいからどうせできないだろう、と思うのは良くないな、と思いました。もちろん服を作ってみるなどはまだまだスキルがなく、先生の作業を見ていて、どうしてこうも簡単に…とびっくりすることが多々ありますが。これまでに作ったものは、ブックカバー、ポーチ、キーボード入れなど。まだ簡単なものばかりですが、ブックカバーは自宅、キーボード入れは会社で活躍しています。これからノートPCを入れる鞄を作ってみたいですね」
ミシンも、針や糸を使うのも小学校の家庭科の授業以来、でも“意外と簡単”、というのが宮澤の感想だ。この洋裁教室で女性社員は、小物作りから発展し、より実用的なこと、例えばコートやスカートのリフォームに挑戦している。安い既製の洋服が溢れているので、手作りはかえって高くつく場合が多い昨今だが、リフォームなら眠っているものを再び甦らせることができる。“もったいない”の精神には欠かせない技術である。
洋裁で手作り体験に目覚めた宮澤が今凝っているのは、スプラウト作りだという。
「最近、とある企業のノベルティで水栽培セットをいただいたことが発端で、カイワレ、アルファルファなどを作っています。これも家庭菜園と言えるかもしれません。種と水さえあれば1週間で成長しますが、収穫量は少なく、1週間で1回の夕食のサラダ分ぐらいです。食事は日々のことでとても大切だと思うし、食べることは大好き。最近は料理を作る時間をあまりとれず、外食が多くなっていますが、自分で野菜を作り、それを食材にして料理を作る。それは社長の言う“健康的な生活”につながると思います」
家庭菜園、料理、洋裁、修理などは少し前まで当たり前に家庭で、または自分の手で行われてきたことだ。これらが復活すれば、金銭取引が発生しないために日本のGDPは下がったとしても、メタボリック・シンドロームなどの生活習慣病が減り、国民の幸福度、GNH(グロス・ナショナル・ハピネス)は上がるだろう。トッテンは、石油の時代が終わり、海外からの豊富な食料輸入が途絶えれば、日本はたちまち食料危機に陥る可能性があることを危惧し、それを見据えて社員に「手仕事」を推奨している。
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