起業する。または、プロジェクトを立ち上げて遂行する。 そんな時、誰しも「失敗」は避けたいはず。では、どうすればいいのか。 一つの絶対法則がある。「人間の行動は思考に従い、思考は言語によって形成される。故に、適切な行動のためには目的・目標・手段を正しく言語化しておく必要がある」ということだ。
「こんなはずではなかった・・・」にならないためには、「戦略」は正しく言葉にすべきだ。
正しく言葉にして、可視化し、共有できるようにしたものを「ミッションステートメント」という。Statementとは「声明」や「言葉」を意味する。
ミッションステートメントを作るための、筆者オリジナルのフレームワークを紹介しよう。「ピラミッドチャート」と名付けたが、構成は図の通りだ。構成要素は以下の通りである。
1.価値理念…何のために企業として存在するのか。または、プロジェクトが立ち上がったのか。「顧客に対してどのような存在であるのか」「何を約束するのか」を明確にする。
2.個性…他にはない独自性を表す部分。自社(プロジェクト)にしかできない、顧客に提示できることは何かを明確にする。
3.理想とする顧客…どのようなお客様のために存在するのか、「約束」するのかを明確にする。
4.機能的付加価値…理想的な顧客に提供できる物理的メリット。自信を持って提供できるものは何なのかを明確にする。
5.情緒的付加価値…理想的な顧客との各種コミュニケーションを通じて、どのような気持ちにさせることができるかという、無形の付加価値を明確にする。
上記にフレームワークを示したが、穴埋めテスト的に思いついたキーワードを当てはめるのは「ちょっと待った」である。全体像をつかんだら、まずは1~5のうち、1の「価値理念」と2の「個性」を徹底的に自問自答・議論することだ。短い言葉でキレイにまとめることが主旨ではない。一旦はフレームワークを忘れて、「自らが実現したいこと(目的)なは何で、それを実現しようとする自らは何者なのか」を箇条書きに書き出して、さらに長くても構わないので、文章化する。その上で、「人に伝わる言葉」にしてフレームワークに入れ込むのだ。1と2が明確になったら、そうした自分を受入れてくれる。さらには自分が働きかけたい顧客が見えてくるだろう。さらに、「戦略」における「アクションプラン」を意識すると、4と5が見えてくるはずだ。
今回は2000文字強の文字数でさらっと書いているが、上記のミッションステートメントの定義は、ああでもない、こうでもないと懊悩しつつ書き上げることになり、実は恐ろしく時間がかかる。しかし、あえてそれをやる価値はある。なぜなら、 冒頭に記したように、人間の行動は思考に従い、思考は言語によって形成される。故に、適切な行動のためには目的・目標・手段を正しく言語化しておく必要があるからだ。
一橋大学の伊丹敬之・名誉教授は「どんな企業にも戦略はある。成功しているかどうかは別として」と説いている。あるべき姿=目的が設定・共有され、そのあるべき姿に到達するためのアクションプランを構成員が一丸となって執行すれば、成功する。目的設定が曖昧な戦略は、各人がバラバラに行動し、どこかの時点で「こんなはずではなかった・・・」ということになるのだ。
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2009.02.10
2015.01.26
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。