企業向けソフトウェア販売/サポートの老舗、アシストが、苦労の末、主力商品サービス、DODAI(ドダイ)を自社開発した。その開発ストーリーから、商品サービス開発の要諦を探る。
■お客様を「知る」ことから
岸和田はアシスト入社後、常にお客様に「近づきたい」「知りたい」という欲求から、入社後6~7年目には、2つの開発/運用案件に志願したが、DODAIを開発する上でこの時の経験が最も役立ったという。
1つは、メーカーのプロジェクトで、金融関係の開発案件。Oracleについてはすべて熟知しており、質問にも即答できる状態であったため、メーカー側のプロジェクト・マネージャーの好意で、ハード・ディスクの交換作業などハードウェアに関わる作業もやらせてもらったという。そのプロジェクト・マネージャーとは今も交流があるというが、このプロジェクトでハードに関する知識を深めるとともに、開発がどういう形で進められるのか、お客様がどういう要望を出されるのかを実地で覚えることができたという。
また2つ目は、SIerに出向して、通信会社のメール・システムで利用するOracleの運用を担当したことだ。当時、そのメール・サービスの加入者は飛躍的に増加していた時で、ユーザ数が数千万人の巨大システムだった。新しい社会インフラとなりつつあった携帯メール・システムということで、絶対に止めてはならないというプレッシャーの中、Oracle運用の担当メンバーの一人として参加した。ハードウェアやOSなどのOracle以外の知識やノウハウの習得もできたが、何より、社会インフラを支える責任の重さや、そこで働く人たちの考え方、仕事の進め方、仕事への向き合い方など、非常に多くの大切なことを学んだと言う。
当時の体験について岸和田は次のように語る。「DODAIの商品化を担当する上で、実際の開発、運用案件に携わった経験は非常に大きかった。アシスト社内の業務だけだったら、ここまでOracle以外のことを勉強することはできなかった。お客様先の実際の開発プロセスを、最初から最後まで体験できたこと、大規模なシステムの運用を経験できたことで、お客様が自社の差別化や戦略的な部分に注力できるよう、『土台』部分はできるだけお客様の手を煩わさないで済むようにしてあげたいと考えるようになった」
■新サービス発想の原点
岸和田は、なぜ、アプライアンス的な発想をDODAIでサービス化しようとしたのか?
サッカー少年の岸和田が、「これ、仕事の合間に作ったんですよ」と、はにかみながら見せてくれたのは、サッカー選手の試合中の動きを「見える化」したWebページ(Analyze Football) 。当時の全日本の監督、トルシエの「フラット3」に代表される戦術論が一般にも話題になることが多かったのだが、客観的なデータを示すコンテンツが存在しなかったので作ったのだという。各選手のパスやドリブルなどの動きを時間帯ごとに座標にマップし、どの選手がどのように動いたかを線でつないでWebサイトで表示したものだという。「世界中どこを探しても、こういうシステムはなかった。じゃあ、サッカーが好きで、IT業界にいるのでJavaを勉強して、自分で作ってしまおう」ということで始めたのだという。
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株式会社アシスト
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