お客様の依頼に対しては、全社員が「担当営業マン」の気持ちで対応する。この全社一体の顧客対応力がアシストの何よりの強みだ。実際、アシストの広報誌『お客様の声』の取材で伺ったお客様からは、こうした評価をよく聞かせていただく。 しかしである。社員数が800人を超えると、組織は縦割りとならざるを得ず、その機能も細分化される。勢い、何らかの弊害が出る恐れもある。アシストも大企業病を患いつつあるのだろうか。
あなたの会社で、こんな風景を目にすることはないだろうか。
「毎朝、社員は出勤してくると黙って自分の席に座り、パソコンを立ち上げる。大量のメールを読んで、その対応に追われているうちに、何時間も過ぎてしまう。その中に、隣の人や近くの人から来たメールがあっても、すべてメールで機械的に返事をしていく」
「見えるところに席があるのに、直接話をせず、メールで何度もやり取りをしている。しかもそのやり取りは、関係者にすべてにCCで流され、自分のせいではないというのを他の人にも知って欲しいと主張している」
いずれも数年前に話題になった『不機嫌な職場』(講談社現代新書)に描かれている情景だ。やろうと思えばできるのに、人と直接話をしない。そんな職場はどこかがおかしくなり、やがて社員同士が協力することもできなくなっていくだろう。
業務効率化に役立つ反面、メールにはこうした弊害もある。残念ながらアシストでも、コミュニケーションに関する風通しの良さが少し落ちてきた。そのため本来何よりの強みであるはずの、部門や職種の壁を超えたお客様対応が取りづらくなっている。顧客満足度調査でも「営業担当と技術サポート担当者間の情報共有を望む」「技術サポート担当者間の連携強化をお願いしたい」といった声がお客様から寄せられるようになってきた。
もちろん、そんな状況を、ただ手をこまねいて放置していたわけではない。アシストは「情報活用支援サービス企業No.1」を目指す企業である。社員間での情報連携を活性化する仕組みは、当然、整えてきた。例えば情報共有のために顧客の訪問ログや技術サポート状況を全社員が閲覧できるようにしたり、社員間のコミュニケーションを促進するための社内SNSやフリーアドレス制度(毎日、自分が座る席を各自が自由に選ぶことができる)も東京本社を皮切りに導入済みだ。
ただ、そうした仕組みも、社員一人ひとりが意識的に活用してこそ生きるもの。「毎日違う席に座れば新しい交流が生まれ、発想も変わるはず」と社長のビル・トッテンの発案で始まったフリー・アドレス制度も、結果的には毎日同じ席に座る社員が多く、成果につながっていない。SNSは当初こそ利用者がそれなりにいたものの、いつの間にか下火になってしまった。
いくらトップダウンで制度を作っても、それだけでは絵に描いた餅に過ぎない。制度は、その狙いをみんなが理解した上で、使いこなされてこそ初めて生きてくるのだ。
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株式会社アシスト
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