3Dテレビから見える、メーカーと顧客のズレ

2010.11.26

営業・マーケティング

3Dテレビから見える、メーカーと顧客のズレ

星野 善宣

フルハイビジョン3Dテレビを各メーカーが競って市場に投入しています。皆さんは買われましたか?この3Dテレビ、技術としてマーケット戦略で重要な位置づけにはなります。ただ、メーカーと消費者の視点では現状、明らかにズレがあります。

メーカーとしては、
新技術で購買欲求を感化して、新マーケットシェアを獲得しなければなりません。そのため、広告プロモーションを強化し、新技術市場のリーディングポジションを目指します。(実際、各メーカー、かなり3Dに注力したプロモーションを展開していますね)

しかし、現状スペックの3Dテレビは、消費者満足度は少し低めなのが実態です。

・メガネをかけてみなくてはならない。
・価格帯が高い。
・技術として途上中であり、変化が早い。
・3Dで見るコンテンツも、まだ少ない。
このように、消費者ニーズはまだ満たせないであろう新技術商品をメーカー側は必死に売り込みます。

大手メーカーが「なぜ?」って思われるかもしれません。

新技術マーケットでシェア獲得を目指すメーカーは、実際の消費者ニーズは横において、マーケットでのリーディングポジション獲得に向けた展開に注力します。
これは、競合他社との争いだからです。
(新技術商品マーケティングでリーディングポジション獲得は、これまで大きな意味がありました。しかし、ネット検索社会で本当にこのポジションがかつてと同じ意味を持つかは、少し疑問はあります)

ズレがあることを理解した上で、消費者が知っておくべきは、
新技術商品のメーカーターゲットは「一般消費者ではない」という点です。

メーカーが新技術を売込むターゲットは、消費者の中でも「新規性を好む、あたらしモノ好き層」です。この層を取り込むことで、市場が成熟してきたときに一般消費者層に選ばれるポジションを目指します。
(逆を言うと、あたらしモノ好き層でなければ、まだ新技術商品は買わないほうが得策ということになります。個人的予測では、3Dテレビが市場中心になるのはメガネなしで3D映像を見れる技術がマーケット投入できるようになった時だと思っています)

賢い消費者であるためには、新技術のメーカー視点を知っておくことも役立ちます。

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