ヒトが辞めていくという現象にあたふたするのではなく、変化・流動を前提として何が本質の問題なのか見極めるべき。
ヒトを「真の意味で留める」のは、“絆化”ではないでしょうか。
絆化の源泉は、目的共有であり、共感です。
私の言っている絆とは、かつてのように
終身雇用という「安寧のエサ」が取り持つナァナァな関係ではありません。
(終身雇用自体に問題はなく、その利用のされ方が問題です)
雇用側と働き手側の双方で、
互いのよさを積極的に引き出しあい、
互いがよいと信ずる価値を生み出しあい、
互いに同じ未来景色を見晴らしあう中で築かれる絆です。
若年層の離職率の高止まりがやまない中、
エンプロイメンタビリティを増すことが大事だと
雇用条件や労働環境の改善、企業体の信用度向上などの
対症療法のみが論議され、
いっこうに
トップ経営者や管理職が
若年層との間の絆化にずばり腹を割って切り込んでいかないのが
最も大きな雇用側の問題だと私は認識します。
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さらに、加えると、
絆化ができずに従業員が辞めていくことを人材「流出」といいます。
絆化ができている従業員が辞めていくことを人財「輩出」といいます。
流出した人材は、たぶん、その後のキャリアにおいて
元の組織と再び手を組むことは少ないでしょうし、
そこでの悪評をこぼし回ることすらするかもしれません。
他方、輩出した人財たちは、
その後も元の会社と協業したりするでしょうし、
あちこちでその組織での恩義を語ることでしょう。
そうすることで、結果的に、その組織には
また新たな人財が集ってくることになるでしょう。
IBMやリクルート、アクセンチュアなどは人財輩出企業として有名ですが、
それら企業にとって
ヒトが辞めていくということ自体は大きな問題ではなさそうです。
ヒトを気前よく世の中に輩出する企業には、
また多くのヒトが入ってくる、という逆説的な循環がそこにはあるからです。
要は、ヒトの辞め方(辞められ方)こそが大事な点です。
「3年・3割退職」という現象だけにあたふたするのではなく、
ヒトと組織のメンタルな関係性構築、
あるいは組織文化づくりにもっと目を向けるべきだと思います。
次回は<働き手側の問題>について触れます。
(初回2007年4月10日掲載)
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。