マインドは他者が教育するというよりも、自らが醸成するもの。醸成の際の酵母菌になるものは、原理イメージを抱くことかもしれない。
【Envisioning Career-scape 第1景 】=======
前回、自立と自律の違いを説明するのに、
下のようなメタファー(比喩)を用いました。
・3+5=●は、「自立」的に働くこと。
・●+●=○は、「自律」的に働くこと。
メタファーは言ってみれば、「イメージによる置換」です。
ある曖昧模糊としたとらえにくい概念を
イメージで置き換えて
とらえやすくする。
言語で精緻を尽くした説明よりも
ひとつのイメージを示すほうがかえって
その人の中で
しっくりと、しかも長く
その理解が成立し、継続することがあります。
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私の手元に、いま一冊の英和辞書があります。
『Eゲイト英和辞典』(ベネッセコーポレーション発行)です。
この辞書の帯に、こんなコピーが記載されています。
“on=「上に」ではない” ・・・と。 ???
私たちは、学生時代から教科書で
onを「~の上に」という意味の前置詞として暗記してきましたが、
この辞書は、そうではないといっています。
で、さっそく、この辞書で「on」を引いてみた。
・・・・すると、そこに載っていたのは、
下のような図だったのです。
(図参照)
そう、onは、本来、タテ・ヨコ・上下を問わず
「何かに接触している」ことを示す前置詞というわけです。
暗記的に「~の上に」と覚えてしまうと、
・the fly on the ceiling(天井に止まったハエ)とか、
・a crack on the wall(壁に入ったひび割れ)
・a village on the border(国境沿いの町)
などの言い表しに思考が発展しなくなる。。
そして、たいていは、その都度に、
新しく一対一対、また意味を覚えていく強制をされる。
このように英単語の意味を単線的に対応させて記憶させるのが、
日本の英語教育だったように思います。
(広く言えば、英語以外の教育もそうですが)
しかし、本質的に言葉を理解させるには、
根源的な意味のイメージを植え付ける方が
正攻法ではないでしょうか。
大本の“イチ”をイメージで保持しておけば、
それを“十”にも、“百”にも発展応用することができる。
他方、末梢の丸暗記では、応用がきかない。
この辞典の監修にあたった慶應義塾大学の田中茂範教授は、
その単語の持つ中核的な意味や機能を
「コアのイメージ」と呼び、
それをイラストに書き起こして辞書の紙面にいくつも配置しています。
10個の末梢の意味を覚えるより、
1つのコアイメージを頭に定着させた方がよい
というのが、この辞書づくりのコンセプトです。
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【1景】”自律”について
2015.07.29
2007.04.10
2015.07.22
2015.07.15
2007.03.26
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。