新卒採用の要諦は、人事部門が自社について深く理解し、シンプルに表現できるかどうか、にある。
グループワークをいくら面白いものにできたとしても、冒頭の凡庸な会社の説明が全体の印象を決定してしまっており、結局、選考に関わる数値は変わらなかったというケースも少なくありません。学生にとっても、どこに行っても同じような話を聞かされ、似たような顔にしか見えない会社群を前にして、それで選べというのも酷な話。選べないのは、自己分析が出来ていないからだなどと言うに至っては、ほとんど言いがかりです。
説明しようと思えばいくらでも出来るけれど、それを全部言うのでは芸がないし結果も出ません。学生が得たい情報は何か、理解できるレベルはどの程度か、こちらが望む人材が反応する内容とは、自社を端的かつ分りやすく伝えることができるポイントは何か、などを徹底して考えなければ、短時間で学生を引き付け、会社を何となく理解したような感じを持たせ、引き続くコーナーへの意欲をかきたて、面接を受けてみたいと思わせることはできません。
そのために必要なのは、採用側、人事部門の「自社分析」です。自社分析が足りないから、他社と同じような説明に終始し、中心的なメッセージのない内容となってしまう。聞かされる学生には、全体の雰囲気くらいしか記憶に残らないし、なぜ選考に進むかという動機や理由は生まれません。もちろん、自社の分析は容易ではないでしょうが、採用成功の最も大事なところに違いありません。
「自己分析の不十分な学生は就職活動に失敗する」とは必ずしも思いませんが、「自社分析の不十分な会社は採用活動に失敗する」というのは確実なことではないかと考えます。
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新卒採用
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NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。