もう一度読み返したい本: 【 21世紀の国富論 】①(著)原丈二 氏
■ 公開企業におけるストックオプションは廃止すべきである。この制度があると、経営陣が目先の株価を上げるための施策ばかりやるようになり、従業員も優秀であるほど、株価が下がると思った瞬間に辞めていく。
株価と短期的な業績をリンクさせるためのストックオプションという概念は間違っているし、時価総額をいくら上げたかで、経営者の優秀さを判断することも間違っている。長期的な安定した発展のためには、上場企業はストックオプションを取り入れるべきではない。
■ 最近日本でも目立ってきた「モノ言う株主」と呼べるファンドの多くは、お決まりのように「企業の所有者」たる株主にとっての価値=株価上昇の経営を要求する。経営体質の改善を訴え、結果として時価総額を上げるという一見もっともらしく聞こえるが、良く考えると本質的な矛盾を含んでいる。彼らの言うように、資産をスリム化し、内部留保を配当として吐き出してしまえば、企業はリスクが高くても必要な研究開発や思い切った中長期の投資ができなくなる。中長期にわたる経営を考える上で大切な意味をもう内部留保が、「モノ言う株主」にとってはどうでもいいのは、本当に意味での企業価値など考えていないからだ。「企業価値の最大化」という主張を隠れ蓑に、実際は短期の売り抜けが最大の目的なのである。
■ この手のファンドを封じ込めるには、「短期での売却」という彼らのインセンティブを消し去る仕組みを作ればいい。「モノ言う株主」として経営に関与する以上、すぐには株式を売却できないようにするといった法制化が肝要である。少なくとも5年の保有を義務づけるべきだ。
~新しい技術がつくる産業~
■ 自動車、エレクトロニクス、半導体など、形があり、手で触れることができ、目で見ることもできる工業製品を「物的工業製品」、ソフトウェアー、通信技術、バイオテクノロジーといった、はっきりと目に見えない、形もない、手に触れることもできない工業製品を「知的工業製品」と呼ぶ。
■ 21世紀の新しいタイプの産業を生み出していく上で、「物的工業製品」から形のない「知的工業製品」への移行という大きな転換があることを理解する必要がある。
■ パソコンは普及したが、スイッチを入れてから使えるまで起動時間がかなりかかるし、アプリケーションの不具合が出ることもしばしばである。だから、人間が機械(パソコン)に合わせないことには使うことができない。
■ これからは、「機械が人間に合わせる」ための方法を考えることが、次の基幹産業を生み出すための核になるはずである。
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【もう一度読み返したい本】シリーズ
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