2010.05.10
『キズナのマーケティング』を斬る!(後)
寺西 隆行
(株)Z会
ソーシャルメディアマーケティングを扱った書籍として、現在かなり売れている『キズナのマーケティング』(池田紀行/アスキー新書)の書評です。 ※なお、「斬る!」は、所属会社(Z会)が入試分析などを行うときに「東大入試を斬る!」という言い方をし、それに似た形の書評になりそうだったので、合わせてみました。
◆本投稿記事は、毎日更新中のZ会ブログ
http://www.zkaiblog.com/histaff/
の話題を元に、本サイトの読者層に合わせた形で修正しております。
教育には、情の教育とともに、知の教育が必要です。
「心ある人に」育ってもらうことはもちろん大切ですが、心ある人が他に対して表現し、さらに成長するには、知が絶対に必要です。
人の心を把握するときにも、知によって得た思考が必要ですし。
マーケティングも同じで、「心」とともに「技術」が必要です。
たとえばコールセンターで、電話口のお客さんにとっても真摯・誠実に答え、「ありがとうございました!」と話すことは、電話口のお客さんを長期顧客にする、1つのマーケティングでしょう。
しかし、この電話口のやり取りが、もっと多くの人に聞こえてくれば、もっと多くの人に共感を生むと思いませんか?
それが「技術」が大切な部分であり、ソーシャルメディアマーケティングで可能な部分だと思うんです。
僕がマーケティングをやる上で大切にしているのは、心と技術のバランス感覚です。
1.心>技術である姿勢を崩さない。
2.1の下、極力、心=技術になるように腐心する。
3.1、2の下、心、そして技術の絶対値を共に上げる。
そして、「志」に近くまで昇華した心に伴う技術の部分を補う可能性のあるマーケティングが、ソーシャルメディア(を使った)マーケティング(の技術)だと思っています。
『キズナのマーケティング』。もちろん、「いわゆる」技術や「いわゆる」テクニック満載の本ということは期待していません。
本質的な心の部分はもちろん説いて欲しい、その上で、その「心」を技術で補うのであれば、こんな方法がありますよ、こうするとファンが増えますよ、ということ、「小さな」事例(たとえば僕のお客さんとのやり取り~p143から書かれています~)だけではなく、マーケティングの「仕組(構造)」「仕掛(機能)」「仕切(管理)」を伴った論(あるいは事例)を述べて欲しかったと思います。
つまり、めっちゃ心と志がある会社であれば、それをさらにファン獲得のために使えるのがソーシャルメディアマーケティングですよっ!という流れにしてほしかった…まがりなりにも「キズナ」のマーケティング、というのであれば。
節々にそういうことは書かれているかもしれませんが、全体感としてこの流れは感じず、たらたらと述べているだけ、という感は禁じ得ませんでした。
次のページ3.1・2を補うものとして、ソーシャルメディアマーケテ...
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