上司は、安易に部下にレッテルを貼る前に、何を考え、感じ、何をしようとしているかを理解しなければならない。
【性格類型検査】
私がリクルートに入って最初に配属されたのは、人事教育事業部といって顧客企業の採用試験や教育研修の支援をする部門でした。
その部門が現在のリクルートマネジメントソリューションという会社の前身であります。
私が配属された時はSPIが登場してすぐ、正に売り出し中の頃、360度サーベイに基づくROD研修という商品も出始めた頃でした。当時は、SPIのテストの中にTI(type indicator)型という性格類型検査なるものが組み込まれていて、入社試験などの参考データとして、受験者をタイプ分けして考える役割を持っていました。
興味・関心の方向性は? I : 内向 E : 外向
ものの観方 N : 直観 S : 感覚
判断の仕方 F : 感情 T : 思考
環境への接し方 P : 知覚 J : 判断
この4つの観点の組み合わせで、その人のタイプを質問用紙への回答結果で判定します。例えば「ISTPタイプ」とか「ENTPタイプ」といったような具合です。ちなみに私は、入社試験(今から30年以上前だ)の時は、極端なほどのINFPタイプでありました。この性格類型タイプというものは、あまり変わらない先天的な要素が大きいという説明だったのですが、しばらく後に再検査をしてみると、ENFJタイプに変わっていました。
この話題は、このタイプ分けの中身にはほとんど関係ないので、前置きはこれくらいにしておきましょう。(ちなみにこの類型検査は、パテントの期間が切れて現在リクルートでは扱っていないそうです)
【タイプ分けはほどほどに】
上の性格類型検査のような性格検査を使わなくても、人をタイプに分けて断じてしまうことは、日常的に少なくないのではないでしょうか。例えば、面接の合否のすり合わせなどの場面では、そうですし、人事考課の時の行動評価などでも、半ば人物評価的にタイプ分けの会話がされてしまっているのではないでしょうか。
あるいは普段、人について語る時もついつい、タイプ分けしてしまっているんじゃないでしょうか。
「アイツは基本的に積極性のある奴で・・・・」
「元々何があっても動じないタイプだから・・・」
「楽観的で、くじけないタイプで・・」
「あいつは何事もネガティブに受け止めるタイプだ」
よく、「多様性」というような言葉が使いやすくて「多様性を重視して、いろんなタイプの人間を集めなくてはならない」って言いいますね。これも実に怪しい言い方なんですよね。
人を観るときに大事にしなくてはいけないのは(あるいは気をつけなくてはいけないのは)、誰にでも2面性があるということです。拮抗した2つのタイプが一人の人に内在されているということ。普段楽観的だった人が、いざとなるとメチャメチャ落ち込んで悲観的になることがあります。内向的で人に接するのが苦手だと思ってそれなりの仕事につけていた人が、実は人間関係作りの才能が眠っていたり・・・そういうこともあります。
安易にレッテルを貼ることはいろんな意味で問題があります。
人に対しての先入観を生んで、目に見えない努力や成長の跡を見逃してしまうことがあります。人を観る時のスタンスが画一的になり、思考停止状態でその人の可能性の芽を最初から摘んでしまう時もあります。
タイプ分けする言葉をあまり使わないこと。
タイプ分けするような会話をあまりしないこと。
大事なのは、今目の前にいる人ときちんと向き合うことですね。
人が何を感じ、何を考え、何をしているか、何をしようとしているかを、理解するように努めることがとても大切だと自分に言い聞かせる毎日です。
人事組織
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今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長
組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。