映像教材・授業、ゲーム機や携帯端末を使った学習など、 いわゆるITデバイスを使った教育が増えた。 今後のITと教育の関係を考察してみる。
ITは黒船か。新しい教育の夜明け
ITの進化が、教育に大きく寄与する時代に差し掛かったと言えるだろう。映像授業・教材、電子黒板等、ITと教育の組み合わせは日に日に増しており、インフラの発達がそれを可能にした。
インターネットが普及し始めた一九九五年頃は、回線スピードはせいぜい二八.八kbpsだった。現在の接続速度は一〇〇Mbps(*)に達しており、なんとその速度は一九九五年の三,000倍以上になる。それに応じて得られる情報量も二次曲線的に上昇している(図3)。
また、ITの進化はその勢いは留まることなく、次々と新たな技術革新が起きている。一例をあげると、インターネット上にグローバルに拡散した情報を基に利用したクラウドコンピューティング、ライフキャスティングやビデオストリーミングのプラットフォームを提供するUstream(ユーストリーム)、一四〇文字以内の短文を投稿する新しいコミュニケーションツールTwitter(ツイッター)などが現在のトレンドだ。
このような中、子供達においても物心付いた頃からデジタルに囲まれて育ってきている。そんな子供達は、器用にデジタル機器を使いこなすし(使いこなせないのはアナログ世代の難民たち?)、それが当たり前になってきている。
慶應義塾大学環境情報学部の村井純教授は、日本のネット環境の大きな特徴として三つを上げている。一つは携帯電話のインターネット機能がこれだけ発展している国はほかにないということ。もう一つは、家庭でのパソコンとブロードバンドの普及率が著しいということ。子どもたちは学校からでも家からでも、ネット環境に入っていくことができる。三つ目は子どもたちの使いこなし力。日本の子どもがIT機器を使いこなす感度は、非常に優れていると言える。
ITの進化は、新しい分野の学習も創造した。そのひとつがエデュテインメントである。エデュテイメント(Edutainment)とは、教育(Education)と娯楽(Entertainment)を組み合わせた造語であり、学習を楽しく学ぶものである。iPhoneや任天堂DSのような携帯端末なら、「いつでも」「どこでも」手軽に勉強することができる。
もう勉強方法はひとつだけではない。もはやテキストとノートだけで勉強するのは時代遅れになっているのかもしれない。IT機器を使いこなすことは、学習の幅を広げ、学習に対する興味を喚起し、学力向上につなげる可能性を示唆している。
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2010.05.12
2010.06.11
株式会社経営教育研究所 代表取締役
教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。