5月28日からiPadアプリで提供されている、プレステージ化粧品CLINIQUE の電子雑誌『Smile』。『Smile』を読んで、既存の雑誌やWebの表現とはまったく違うメディア体験に驚いた筆者。“iPad後”の世界はどのように変わっていくのか考えてみた。 [郷好文,Business Media 誠]
ここ数日、私はiPadに揺らされた。
iPad発売8日前の5月20日、1人の美人が資料を携えて、私の仕事場にやってきた。「今日はまだ本機でのデモをお見せできないのですが……」、そう言いながら広げた資料には『Wired Vision』や『Wall Street Journal』の記事がある。そこには、「『タイム』誌の創刊1号から8号の広告に1件20万ドル(1800万円)の値が付き、ユニリーバやトヨタ自動車などそうそうたる企業ですでに完売」と書いてある。
「なんですって!」、美人の顔を(これ幸いと)まじまじと見つめて叫んだ。『タイム』誌とは印刷版ではなく“iPad”版だ。広告やマーケティングがどう変わるのか、彼女は静かに説明した。衝撃を受けた私は「これはお告げだ」と直感した。買わないとダメだ。
衝動のままに、予約なしで発売当日にiPadを購入。さっそくその資料にあったキーワード「smile」をApp Storeで入力。サッカー日本代表の中村憲剛選手の笑顔が表紙のiPadアプリ、プレステージ化粧品CLINIQUEの電子雑誌『Smile』をダウンロードした。5月28日に公開開始された”iPadブランドマガジン”である。
iPadブランドマガジン
右へスライドするとマガジンスタイル。下にスライドするともっと深いコンテンツが展開される。遠山正道さん(スマイルズ代表)、藤代冥砂さん(写真家・小説家)ら笑顔が似合う著名人インタビューが“縦横無尽”に広がる。タテにヨコに揺らせばコンテンツデザインが変わり、動画へもシームレス。タップすると「目次ナビ」の帯が下部に出現。「肌シミュレーター(お肌診断)」や外部ECサイトへ直結する。
「今までの雑誌をiPad用に移し変えるなんてナンセンスです」
『Smile』をプロデュースした、PR会社ビルコムの太田滋代表取締役兼CEOは言う。「企業戦略上でiPadを位置付けると3つの変化があります。『クリエイティブの変化』『企業メディアの変化』『カスタマイズの変化』です」
iPadマガジン 『Smile』 by CLINIQUE for MEN #01
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