160万人超のツイッター・フォロワー数を誇る、ザッポスCEO、トニー・シェイ。インタビュー第二回目は、とにかくお金儲けがしたくて、小学生の頃からいろいろなビジネス・アイデアに着手していたという「シリアル・アントレプレナー(連続起業魔)」としての経験から学んだことについて訊いてみました。
石塚:
なるほど。何より、子供時代に挑戦したピン・バッジのビジネスが一番思い出深いということですね。
トニー・シェイ:
そうですね。単なる「アイデア」として始まったことが、実際にやってみたら、ビジネスとして成立した、ということが、僕にとっては非常に刺激的だったんです。やり始めた当初は、月収数百ドルのビジネスになるなんて思ってもみませんでしたから。(注:お客さんから徴収するお金はバッジ1個あたり1ドル。バッジの仕入れ値は25セントで、返信用封筒はお客さんから送ってもらうので、もうけは75セント、というビジネスだったそうです。)
石塚:
あなたの子供時代のビジネスを見ていると、ただ、「収入を得る」ということが動機になっているものと、「趣味と実益を兼ねる」というか、「楽しみながらお金が儲かる」ということを追求したものと二種類あると思うのですが、子供の時には、どちらの方により強い関心を持っていたのでしょうか。例えば、「新聞配達」というのは、ただ「収入を得る」という目的を追求したものという気がするし、一方、「ミミズの養殖」みたいなものは、「趣味と実益」という部類に入るように思うのですが・・・。
トニー・シェイ:
「お金を儲ける」ことに興味があったのは確かですね。ただ、その一方で、クリエイティブに考えること、いろいろなアイデアを実行に移して、うまくいくかどうか試してみることを、ものすごく楽しんでいたと思います。
(注:インタビューの第一回にも書きましたが、トニーは、父親が化学技術師、母親が臨床心理士という、比較的裕福な家庭に育ちました。だから、別にお金に困っていたわけではなく、彼にとって、「お金を儲ける」ということは、「自分がやりたいことを自由にできる」という意味をもっていたようです。「典型的なアジア系アメリカ人の家庭に育った」とトニーは言うのですが、「お金のことは何も心配しなくてもいいから、とにかく学業に専念するように」と言われて彼は育ったようです。「医者になるか、博士号をとるか」というのが、ご両親が彼に対して抱いていた期待で、「大学院を出るまでは学費も全額払ってやる。好きな服でも何でも買ってやるから・・・」と言われて育ったそうですが・・・。考えてみると、子供の頃から次々といろいろなビジネスに手を染めた、というのは、親の期待への一種の反抗でもあったのかなと思います。「真面目で行儀のよい優等生」というよりは、意外と「悪ガキ的」な天才少年だったのかなあ、トニーは・・・。)
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インタビュー
2010.04.27
2010.04.22
2010.04.20
2010.04.15
2010.04.13
ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。