テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』のツイッター特集で紹介され、話題騒然の注目企業、ザッポス。同社のCEOであり、企業トップとしては世界一のフォロワー数(160万人超)を誇る人、トニー・シェイをインタビューしてきました。今日はその第一回め。
今年6月7日に出版予定の本、『Delivering Happiness(ディリバリング・ハピネス)』について、ザッポスのCEO、トニー・シェイにインタビューしてきました。題名の『Delivering Happiness』とは、『幸せを届ける会社』とかそういった意味合いだと思いますが、副題には、『A Path to Profits, Passion, and Purpose(利益、情熱、そして意義への道のり)』とあります(私の勝手な翻訳ですが・・・)。本のことから始まり、企業文化について、リーダーシップについて、「幸せ」に関するトニー自身の哲学について、そして彼のプライベート・ライフについてなど話は弾み、1時間が瞬く間に過ぎてしまいました。このインタビューの模様について、何回かに分けて書いていきたいと思いますが、今日はその第一回めです。(注:時々、括弧内に出てくるのは私がインタビュー後に書いたコメントです。)
石塚:
まず、6月7日に出版される本、『Delivering Happiness』についてですが、この本を通して伝えたかったメイン・メッセージは・・・。
トニー・シェイ:
企業の目標として、社員や顧客のハピネスの追及か、あるいは、利益の追求か、そのうちのいずれかひとつを選ばなくてはいけない、というのがかつての考え方だったと思います。このふたつが、まったく相反するものとして考えられていたわけです。しかし、今の時代には、これらは必ずしも相互排他的なものではない、「社員や顧客のハピネスと、利益と、ふたつを両立できる時代が来たんだ」というのが、僕がこの本を通して主張したいことです。
本は大きく三つに分かれていて、まず第一のセクションは、僕の起業家としての歩みを自伝的に書いています。子供の時に道端でレモネードを売ったり、ガレージ・セールをやったりした経験から始まって、大学時代にやっていたピザ・ビジネス、卒業後に立ち上げたリンク・エクスチェンジ、そしてザッポス・・・。そういった一連の起業経験から僕が学んだことについて書いています。(ちなみに、トニーのお父さんは特許をいくつも持っている化学技術師、お母さんは臨床心理士だとか。ご両親は、トニーに起業家ではなく、医者とか学者になって欲しかったらしいです。)
そして、第二のセクションは、僕らがザッポスでやってきたことについての話です。ザッポスのカルチャーやコア・バリュー、顧客サービスに関する僕らの哲学はもちろんのこと、創業から今まで、社内で交わされてきたメールやその他の文書なども交えながら、いろいろな紆余曲折を経て僕らが学んできた教訓について書いています。
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インタビュー
2010.04.27
2010.04.22
2010.04.20
2010.04.15
2010.04.13
ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。