国内最大規模の求職者データベースを持つエン・ジャパン。転職サービスをメイン事業としながらも、求職者には安易な転職を勧めず、求人企業に対しても慎重な採用を求める。ともすると自社の利益と矛盾しかねないポリシーの背景に秘められた同社の哲学を探る。
「5年間かけて培ってきたのはブランド力に加えて、地道なマンパワーです。当社の営業社員はクライアントからさぞかし『注文の多い営業社員』と思われているんじゃないでしょうか。しかし、その方が結局はクライアントのためになるわけです」
聞き出すだけではないのだ。最終目的は、クライアント企業に貢献できる人材を送ることである。だからエン・ジャパンは極めてユニークな制度を導入している。『入社後活躍度®』調査である。
「当社を経て転職された方が、入社先でどれぐらい活躍されているのか。その活躍ぶりを追跡調査しています。調査は手間もコストもかかりますが、『入社後活躍度®』は商標登録も取り本格的に取り組んでいます」
そこまでの責任をエン・ジャパン社の営業社員は求められる。同社で営業を極めるのは至難の業なのだ。クライアントからすれば、少々うるさいけれども頼りになるパートナーである。
「最終的な結果、つまりクライアント企業の業績にまでコミットするのだから、当社が自ら安易な価格競争に走ることはまずありません。もっとも、こうしたビジネスを展開できるのも、リクルートさんが先行してベースを作ってくれていたおかげです。利益率の高い業界だからこそ、優秀な人材が集まってきた。だから可能になった営業スタイルだともいえるでしょう」
リクルートが切り開いた道を、ネットの力で大きく広げたのがエン・ジャパン社である。やがてネットを使った転職サービスが広く普及し始めるにつれて、日本の雇用環境も大きく変わっていく。雇用の流動化が進むのだ。
⇒次回最終回
「縁をつないでさらなる成長へ」へ続く(全四回)
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◇インタビュー:竹林篤実/坂口健治 ◇構成:竹林篤実
◇フォトグラファー:大鶴剛志 ◇撮影協力:ピクスタ㈱
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FMO第32弾【エン・ジャパン株式会社】
2010.04.08
2010.04.01
2010.03.25
2010.03.18