国内最大規模の求職者データベースを持つエン・ジャパン。転職サービスをメイン事業としながらも、求職者には安易な転職を勧めず、求人企業に対しても慎重な採用を求める。ともすると自社の利益と矛盾しかねないポリシーの背景に秘められた同社の哲学を探る。
第2回「ネットで求人広告を変える。根本的に、徹底的に」
■理想的な情報提供メディア・インターネット
「紙媒体からネットへの思い切ったシフト。決断の背景には創業者ならではの勘、あるいは先見性があったのでしょう。振り返ってみると、そうとしか思えません」
エン・ジャパン社の前身は日本ブレーンセンターという。リクルートの代理店として1983年大阪で創業、越智・現会長が立ち上げた。創業10年で同社は、関西にあるリクルート代理店の中で売上トップの成績を誇るまでに成長した。
「越智がインターネットに触れたのは1995年ぐらいのことだと聞いています。少し使ってみてすぐにピンと来たのでしょう。将来、求人はインターネットを使うようになる、と確信したようです」
Windows95の登場によって、日本でもインターネットの普及が始まっていた。とはいえ当時はまだ、自社サイトを開いている企業さえ珍しい時代である。にもかかわらず、新しいメディアの可能性を見抜いた越智氏は、直ちにデジタルメディア事業部を立ち上げている。
「それからの5年間はじっと我慢、先行投資の時間でした。代理店業務であげた収益を、海のものとも山のものともつかぬインターネット事業にまわすわけですから、越智以外の経営幹部は相当反対したようです」
しかし越智氏はぶれなかった。なぜなら氏は、インターネットこそが求職者と求人側を結ぶ理想的な媒体であることを見抜いていたからだ。
「インターネットと紙媒体の最大の違いは、情報量です。印刷物は誌面サイズが決まっているので、盛り込める情報量には制約があります。ところがインターネットならば極端な話、ありったけの情報をすべて掲載できる。伝えるべき情報を、可能な限り詳しくという当社のポリシーを完全に実現できるメディア、それがインターネットだったのです」
しかもインターネットは双方向性をもつメディアだ。うまく活用すれば、追加コストをかけずに求職者コミュニケートできる。
「メールでのやり取りなら、通信コストはほとんど不要。求職者に対して、履歴書を添削して差し上げるサービスや、オンラインで模擬面接をするなどのサービスも低コストで提供できます」
※企業説明参考資料⇒ http://corp.en-japan.com/IR/contents/3min/img1.html
■吹いてきた時代の追い風
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FMO第32弾【エン・ジャパン株式会社】
2010.04.08
2010.04.01
2010.03.25
2010.03.18