「自己PがMECEに言えたよー」から、MECEを考える

2010.04.01

経営・マネジメント

「自己PがMECEに言えたよー」から、MECEを考える

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

だいぶ前に、マックで「自己P、ミーシーに言えたよー!」と言い合っていっている女子大生がいました。まあ、別に、言うべきことをモレなくダブリなく言えた、という意味ではそれはそれでいいのですが。

⑧あんまり、そもそもMECEって何?みたいなことを知らない自称コンサルに騙されないでね。結果として出てくることにMECEとか、そもそも原理的に使わないのよ・・・。もともとある多面体としてのあなたを忘れてこないためにMECEという技術を使うのです。

⑨MECEに自分を説明、みたいな話しは、1つの自分像が平板にあるという考え方に近くて、1つの自分像には違和感を感じると思う。それをしゃべっているうちに、自分でもそうだと思い込むけどやっぱり違う、みたいな話しはこの辺に原因があると思う。まあ、すぐに会社から来てくれと言われれば解決だが

 えーっと、読み返すと、読んだまんまなのですが、解説を試みてみます。

 おそらく、巷に自己PRのフレームワークみたいなものが流通しているんでしょう。ただ、自分のこれまでを見てみて、いろんなシーンがあると思いますが、そこから1つの自分像を作るのは無理があります。

 自分像は、いくつにもなる。アナロジーとして持ってくるとユングの原型論あたりはそのようなことを主張しているでしょう。

 だから、自己分析?みたいなことをして、1つの自分像に持ってきて、それであろうとするような作業、言語化、人への説明、自分への説明みたいなことをすると、なんか違う、とかそういう感じになると思います。

 他人に説明する自分なんてそんなもんだ、という割り切りもいいかもしれません。ただ、自分像は、いくつかの他人に説明する自分に収束させるほうが健全じゃないかなあ、と思うんですね。

 もしも、自分を人に説明するならば、

 自分の過去の出来事を振り返って、いろいろと考える。

 それで、性格、性質みたいなものに統合してみるのもいいでしょう。

 そこから、どんな方向性があるのか?を考えてみる。

 こんな未来を創りたい自分がいる。こんな未来、こんな未来。いくつあってもいいのです。それぞれの場所で活躍している自分がありえるでしょう。

 それで大きくいくつかのやりたい方向性、あって欲しい未来の方向性で、自分のキャラクターを落としてみるのです。

 そうすると、おそらく、だいぶ違った自分をいくつか作ることをできるでしょう。なかには、それぞれが矛盾する自分像である場合もあるでしょう。でも、自分自身ってそういうもんじゃないですか?

 で、その中の適切な自分像を選んで、それを中心にして相手に自分を説明する。

 そうすると、嘘ついてる感はないだろうし、しっくりくるんじゃないかと思うんですね。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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