2010.03.06
我が子の内定のために親ができること(1)「就活」事情を知る
新田 龍
株式会社ヴィベアータ、株式会社就活総合研究所 代表取締役
新卒学生の就職活動、略して「就活」(シューカツ)が正念場を迎えています。 本シリーズでは、就活生のお子さんを持つ親御さんに向けて、「新卒採用と就活の現状」と「面接官の本音」、そして「親としてやるべきこと、やってはいけないこと」について最新の情報をご提供していきます。
(1)現在の新卒採用市場の動向と、「就活」の変遷
好調だった2008年春までの景況感は同年末のリーマンショック以来急変し、大量の「内定取り消し」問題が発生したのは去年の今頃でした。 今社会人1年目の人たちはギリギリで就活の荒波に呑みこまれず間に合いましたが、現在卒業年度の学生は「売り手市場」と言われていた環境が一挙に転変し、経済環境に翻弄されてしまった形になります。
この厳しい状況の中では、シッカリと希望企業に内定を得ている学生と、まったく対応できず、内定を得られないまま就職留年を選択したり、不本意な就職先を選ばざるを得なかった学生に二極化してしまいました。 なぜ、そのような差異が生まれてしまったのでしょうか。
ポイントは、「環境変化にいかに素早く対応し、柔軟に行動できていたか」ということです。
実は、「採用数が大幅減!」と報道されていた時期ながら、強いこだわりを持たなければ、就職先は多数あったというのが現実なのです。 (当時の求人倍率(求人数/求職者数)は1.62倍という数字であり、これは100人の学生に対し、求人は162件あるという計算になります)
ただこの数字にはウラがあり、1.62倍というのは全体の平均値。 従業員数1,000名以上の倍率は0.55倍、1000名未満の中小企業は3.63倍なのです。 要するに大企業は選考が厳しいものの、採用ニーズを持ったの中小企業は多数あった、ということなんですね。
危機感を持って、状況にきちんと対応した学生は、応募企業数を増やしたり、書類対策、試験対策、面接対策をおこなうなど、十分な準備をして選考に臨んだ人が多く、彼らの多くが何事もなかったかのように内定していきました。 一方で状況を甘く見ていた、もしくは危機感を持てなかった学生は、採用基準が上がった選考に耐えられず、思い通りの内定を得られないまま時間が過ぎていった、というのが現実なのです。
企業が採用を抑制する傾向は現在も続いていますので、本年度の就活も厳しい状況だという前提で臨まれたほうがよいでしょう。 すなわち、筆記試験や面接の選考基準も厳しいということです。 景気のいいときであれば、「まずは採用してみて、じっくり育てよう」という可能性もあるものですが、現在ではあいにく「即戦力としての可能性や資質がないと採用しない」という企業が増えています。 お子さんにはその危機感を強くお持ち頂きつつ、親御さんの適切なサポートも必要となっているご時世なのです。
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新田 龍
株式会社ヴィベアータ、株式会社就活総合研究所 代表取締役
キャリア教育プロデューサー ブラック企業アナリスト 大学講師 HRMストラテジーコンサルタント JCDA認定キャリアデベロップメントアドバイザー 日本キャリア開発協会、東京商工会議所会員 早稲田大学卒業後、東証一部上場企業で経営企画、事業企画を経験。 その後人材サービス大手企業にてコンサルタントおよび人事採用担当等を歴任。 現在は人事戦略とキャリア教育に関するコンサルティング会社を2社経営。