エコ、グリーン、環境に優しいといった言葉で安易に社会的価値に訴えるのは、安易なように見えて、実は両刃の剣です。今回は、そうした行動が、いかに情報の出し手である企業にとって望ましくない結果になるか、また、そうならないようにするにはどうすれば良いかについてのお話です。
他に、グリーンウオッシュの典型例として挙げられているのが、単に法令遵守に過ぎないものを、自社独自の環境負荷削減への取組みとして訴えるものです。近年、グリーン調達という言葉が提唱され、各企業はこぞってグリーン調達方針、ガイドラインなどを掲げ、環境報告書でも、グリーン調達方針、ガイドラインなどを掲げている事を、環境への取組みとして紹介しています。グリーン調達とは、元来は、企業が資材や原料、部品の調達に際して、環境負荷の低いものを優先的に採用する事を指す考え方でした。しかし、各企業がグリーン調達を進めた背景として、EUがWEEE、RoHS指令、REACH規則など環境規制を進めた事、特に、電子・電気機器における特定有害物質の使用を制限するRoHS指令は、裾野が広い電機、自動車産業が対応しなければならなかった事があり、グリーン調達がこれらRoHS指令、REACH規則などへの対応に矮小化されてしまった感があります。しかし、これら規制への対応は、やって当たり前の対応であり、その対応を以って地球環境の負荷の削減に積極的であるとするのは、グリーンウオッシュとみなされます。こうした見方に立てば、日本企業の多くが、まだまだグリーンウオッシュ企業とみなされても仕方がありません。
日本では、コミュニケーションの厳密性をあまり求められず、グレーを寛容する傾向があるので、「何もそこまで」「法を犯してなければ良いのでは」「悪気があってやった訳ではなく」と捉えられるかもしれません。しかし、もう少し広い観点から、グリーンウオッシュに対して、厳しい視線が求められます。
それは、グリーンウオッシュが、ようやく芽生え始めた生活者の環境意識を破壊するものだからです。グリーンウオッシュは、一人の心無いマーケッターが安易に地球に優しいと訴える事により、真剣に地球環境への負荷削減に取り組んでいるあらゆる企業、団体の行為を無力化する行為です。
すべてのコミュニケーションは、相手の述べている事は真実である、嘘をついていないという前提があって、初めて成り立ちます。相手の言っている事が信じられなければ、どれだけ沢山の情報をもらっても、意味を持ちません。環境以外でも、健康やファッションなどで、独自の機能を持った商品がヒットすると、機能が劣る粗悪なコピー商品がその市場に殺到し、市場そのものを破壊してしまうのが、これと同じ構図です。
環境負荷の低減は、トレンドやファッションと大きく異なり、ブームで終わらせて良い問題ではありません。資源は有限である一方、世界的には人口増、消費水準の向上が進むのを考えると、永続的に取り組まなければいけない課題であり、それを単なるブームに貶めるグリーンウオッシュには、厳しい姿勢で臨む必要があります。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます