2009.12.16
■成功のヒントはそこら辺に『ごろごろ転がっている』~ホテル編
小野寺 洋
株式会社JIMOS 通販広告研究所 所長/ビジネスディレクター
不況、不況と言うなかれ! 世の中をじ~と見つめてみると、ちょっとした「気づき」で、成功を引き寄せている企業は、まだまだたくさんありますよ。
完璧である。「深夜2時までチェックイン可能」という言葉を出すだけなら、どこのホテルでもできるだろう。だが、この告知の仕方の良いところは、なぜチェックイン時間を深夜2時まで延長したか、その「理由」が明確であり、しかもターゲットを絞って伝えているところにある。しかも、お客様のインサイト(潜在的な欲求)に十分に応える形で。
また、告知のすぐ後には、具体的なクロージング(宿泊予約提案)も用意。次の2つのプランを用意している。
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(1)金曜の深夜に到着 → 土曜を滑って帰る
= 1泊朝食プラン
(2)金曜の深夜に到着 → 土曜を滑る → 日曜も滑って帰る
= 2泊3食プラン
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金曜の深夜に到着するっていいなぁ~と思ったお客様に、余計なことを考える「間」を与えないクロージングの早さなのだ。
■さらに、「チェックアウト」でも差をつけられる!
さらに、チェックインだけでなく、チェックアウトのアイディアも秀逸だ。
一般の温泉ホテルに泊まる際、本当は「朝風呂にゆっくり入りたい」のに、例えば朝食の時間が7~9時と決められているが故に、朝食の前に急いで入ったり、朝食後に入る場合でも、チェックアウトの時間を気にして、ゆっくり入れなかったりしたことはないだろうか?
逆に、朝風呂の時間を確保するために、朝食を急いで食べてみたり・・・。せっかくリゾートホテルに「くつろぎ」に来ているのに、本末転倒だったりして・・・。最悪の場合は、寝坊してチェックアウトで精一杯→朝食を食べ逃した~、なんてことも・・・?
特に、女性の場合は化粧をする時間も必要で、実は、ゆっくりと朝風呂を楽しめる時間がほとんどないのだ。
その点、このホテルは、「朝食がゆったりと11時までいつでもOK!(チェックアウトは10時)」となっており、朝もゆっくり温泉に入れるし、もし寝坊しても、チェックアウト後に朝食をとれるので、「朝食に間に合わなくて損した~」なんてこともない。
ここでも、単に「チェックアウトは11時まで」と告知するだけではなく、チェックアウトが11時になることによって“朝食がゆっくり食べられる”というベネフィット(お客様の便益)を伝えているのが秀逸だ。
日常生活であれば、朝食が7~9時というのは普通かもしれない。しかも、朝食の時間帯を決めておけば、ホテル側は食事の準備や後片付けなどをまとめて行うことができ、従業員の労働計画も立てやすい。極端な話、食事時間の細かな設定は、「ホテル視点の発想」とも言えるのである。
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小野寺 洋
株式会社JIMOS 通販広告研究所 所長/ビジネスディレクター
「効く広告」の研究とプロデュース、講演活動等を生業としています。 【略歴】 大学卒業後、出版社に入社。お客様と商品の“接点”開発に目覚める。 2005年より、株式会社JIMOSにて自社通販ノウハウを元にしたダイレクトマーケティング支援事業を行う。大手代理店にはない独自のアイディアや成功法則を武器に、広告をプロデュース。教育、食品、美容など、数多くの分野で成功を収める。 1973年佐賀県生まれ。佐賀大学理工学部卒。