ユニクロ創業60周年の消費者還元セールがとうとう始まった。午前6時から展開されたセールには、どの店にも行列ができたようだ。その行列は予想できた。しかし、先着100名に配られると話題になった「牛乳とあんパン」は、はてさて、特別なものだったのだろうか?予想できない。気になるのは、私だけ?
インターネットとは、ありがたい。
早朝に並んで「牛乳とあんパン」をゲットした埼玉県在住の兼業主婦さんがブログに掲載していた。敬意を表して紹介させていただく。
はてさて、何か特別な牛乳とあんパンだったのか?
産地直送の絞りたて牛乳だったり、、、
国産大豆と特製麹を使ったあんパンだったり・・・
凄い物語や今後の事業の伏線を感じさせるものだったのかぁぁぁぁ?
答えは、並んでビックリ、、、
成分無調整の森永牛乳と
「大福みたいなホイップあんぱん」フジパン製
だった。どこにでも売ってる普通のメーカー品のセットである。
いわゆる大衆におなじみのセットであったのだ。
その答えには、ガッカリするというより、、、
やっぱり凄いなぁと言うのが正直な感想だ。
創業の精神=原点に還るという意味もあったとは予想されるが、それ以上に感じるのは、今回のユニクロ創業60周年の消費者還元セールに貫かれている「特別ではないことへのこだわり」である。
①5千円分の買い物ごとに 1枚ずつもらえ、当たれば現金1万円を受け取れるという手法
②総額10億円でキャンペーンを終了するという手法
③早く並んだ人には、粗品だけどプレゼントがあるという手法
整理してわかるのだが・・・このキャンペーンって、「家電業界」や「パチンコ業界」のやり方である。
ファッション業界なら絶対に避けて通るはずのものである。
ファッション業界は、多様性こそを追い求めるものだ。しかし、ユニクロは、常に、それに逆行する。ファッションを大量加工していく。「特別ではないことへのこだわり」を新しい業態にしていこうという気概を感じる。ファッション業界に生きる人達の多くは、きっと歯がゆい思いの方も居るだろう。
ユニクロの理念は動かない。早朝の「牛乳とあんパン」が特別であろうはずがない。堂々とメーカー品で良いのである。それも、「大福みたいなホイップあんぱん」である。ちなみに、1個のカロリーは、320キロカロリーである。美容にも健康にも良くない。でも、それでいいのである。それが、ユニクロの原点なのであるから・・・。
ファーストリテイリング会長兼社長、柳井正さんは、毎日新聞のKiReI NEWSの中で、どうすればこの不景気を乗り越えられるのか?という問いに対して、
「売れないのは景気が悪いせいだとか、天候不順のせいだとか、そんなのは関係ない。不景気だって生き残らなければならないんですよ。だったら、万年不況であるとか、自分たちは斜陽産業であるとか、そうした前提で、どうすべきかを考えなければ」と答えておられる。
どこにでも売ってる「牛乳とあんパン」を囓りながら斜陽の業態を復興してきた。
ぜんぜんお洒落じゃない「大福みたいなホイップあんぱん」を配布する強さが、ユニクロの強さなのである。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。