組織の変革には、関わる人の参画意識、当事者意識が必要です。 そのために必要なもの、それは一言で言うと「緊急感」!(Sense of urgency) それを高める即効性のある目覚まし時計が2つあります。
この最悪の状況下で、ブラットン市警本部長は、たった2年間で
NYを米国で最も安全な大都市に変貌させました。
1992-94年の間に、重罪39%、殺人50%、窃盗35%の減少、驚異の改革をやってのけました。
同時に市警の「顧客」である市民の信頼度は37%から73%に急上昇です。
退任後も犯罪率の減少が続いていると言われています。
ブラットンがまず行ったのは、「緊急感」の引き起こすために厳しい現実を突きつけることでした。
鏡に映し出すべく、市警の幹部たちを連日連夜数週間に渡って地下鉄に乗せたのです。
(幹部は通常地下鉄に乗らない)。
地下鉄内で発生する重罪は数字上3%に過ぎませんでしたが、
NYの治安の醜い現実がそこにあったからです。
同時に、治安の悪さを理由に転出の続く地域の住民の声を直接聞かせ、
嵐にさらすかのように、対話集会を開きました。
その地域の重罪の検挙率は上昇していましたが、
住民感情としては、重罪に対する不安よりも、
酔っ払い、物乞い、街娼、落書き、破損に不快感を最も抱いているという現実があったからです。
まさに鏡をと嵐を用いて緊急感を高めることを行ったわけです。
これは当時の市警幹部にとって、目覚まし時計のような即効性のある効果を及ぼし、
これがテコになって、異例な速さでいわば「流行」を起こして変革を成し遂げるに至ったのです。
ブラットンの変革の仕掛けは他にもありましたが別の機会にお話します。
ユーザーの巻き込みが足りないなどとよく言われます。
それは仕組みではなく仕掛けが足りないからです。
巻き込みの即効性を高める2つの視点をお話しました。
------- Lesson Learned -------
鏡と嵐という2つの仕掛けで緊急感を高める
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2009.02.10
2015.01.26
株式会社インサイト・コンサルティング 取締役
わたしはこれまで人と組織の変革に関わってきました。 そこにはいつも自ら変わる働きかけがあり、 異なる質への変化があり、 挑戦と躍動感と成長実感があります。 自分の心に湧き上がるもの、 それは助け合うことができたという満足感と、 実は自分が成長できたという幸福感です。 人生は、絶え間なく続く変革プロジェクト。 読者の皆様が、人、組織、そして自分の、 チェンジリーダーとして役立つ情報を発信します。