組織の変革には、関わる人の参画意識、当事者意識が必要です。 そのために必要なもの、それは一言で言うと「緊急感」!(Sense of urgency) それを高める即効性のある目覚まし時計が2つあります。
遅々として進まない改革プロジェクト。笛吹けど踊らず状態が続きます。
一方で、一丸となってどんどん弾みのつくピリッとした改革プロジェクトがあります。
わたしはその感覚を「緊急感」と呼んでいます。
組織の変革が連鎖反応を引き起こす数値的な壁、
必要な臨界質量のような閾値についてはすでにお話しました。
前回の記事→http://www.insightnow.jp/article/398
その臨界質量まで持ち上げるための即効性のある方法が、
A. Mirror(鏡)・・・内的な緊急感
B. Storm(嵐)・・・外的な緊急感
の2つです。
Aの典型的な方法は、自分が実際にはどんな状態にあるのか客観的な現実を目の当たりにすることです。
ここで言う自分とは、改革の対象となる当事者です。
たとえば、問題の生じている現場に直接見に行く、実際にやってみるなどして、
触れる、感じ取るといった気付きが必要です。
自分を映し出すための<鏡>という仕掛けが必要になってくるわけです。
このままではまずい!という感覚が生まれれば、それが変わろうとする緊急感になります。
Bの典型的な方法は、周りがどれほど大変なことになっているのか現実を目の当たりにすることです。
顧客はすでに変わってしまっている、市場が新たなものを求めている、という類の事実です。
たとえば、顧客の声を直接聴いたり、顧客になってみたりして、触れる、感じ取ることが必要です。
他社や海外拠点の状況をまざまざと見て、このままでは取り残されるといった感覚もそうです。
外からの力で動かざるを得ないような<嵐>という仕掛けが必要になってくるわけです。
数字やビジョンやアイデアで訴えて変革の必要性を<理解>してもらうのではなく、
手っ取り早い方法は、変革の必要性を<経験>してもらい、緊急感を持ってもらうこと。
徐々に変化を芽生えさせるというよりも、ある特定の影響力のあるポイントをテコにして、
短期間にいわば「流行」を起こして変革を成し遂げることが必要です。
このポイントはティッピング・ポイント(Tipping Point)と呼ばれています。
好例として引き合いに出されるのが、「割れ窓理論」の話です。
1990年代前半、NYでは犯罪が収まらず、殺人事件は史上最悪を更新していました。
NY市民は戦々恐々とした日々を送っており、地下鉄にも安心して乗れません。
ちなみにわたしが始めて米国出張してNYの夜の地下鉄に乗ったのはその頃です。
覚えています。震え上がったのを・・・。
NY市警の3万6千人の職員は、低賃金、モラルの低さ、危険な環境、長時間労働にあえぎ、
事態収拾のための予算もありませんでした。
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2009.02.10
2015.01.26
株式会社インサイト・コンサルティング 取締役
わたしはこれまで人と組織の変革に関わってきました。 そこにはいつも自ら変わる働きかけがあり、 異なる質への変化があり、 挑戦と躍動感と成長実感があります。 自分の心に湧き上がるもの、 それは助け合うことができたという満足感と、 実は自分が成長できたという幸福感です。 人生は、絶え間なく続く変革プロジェクト。 読者の皆様が、人、組織、そして自分の、 チェンジリーダーとして役立つ情報を発信します。