「博多 一風堂」河原成美物語4 何を変え、何を守ってきたのか

2009.09.24

経営・マネジメント

「博多 一風堂」河原成美物語4 何を変え、何を守ってきたのか

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人気ラーメン店「博多 一風堂」を展開する河原成美さん。長年にわたって日本のラーメン界をリードしてきた男の経営哲学は「変わらないために変わり続ける」こと。この経営哲学を通じて、一体何を実現してきたのだろうか? [嶋田淑之,Business Media 誠]

河原さんの革新その1:「業界革新」


 河原さんの革新は、2つの側面からとらえられる。1つは日本のラーメン業界に起こしたイノベーションであり、もう1つは、力の源カンパニー自身の自社革新としてのイノベーションである。

 まずは前者。1985年の一風堂立ち上げは、停滞していた博多ラーメン、そして九州ラーメンの世界に、一陣の変革の風を吹かそうとする試みであり、それゆえ一風堂と命名したことは前回ご紹介した。

 そして実際、一風堂の登場によって、博多、そして九州のラーメン界は活性化し、次々に若く新しい才能を輩出するようになっていったのである。それに続いて、1994年の新横浜ラーメン博物館、1995年の東京のラーメン激戦区・恵比寿への出店は、日本のラーメン業界そのものを変革していこうとする河原さんの強烈な使命感の現れと言えた。

 そして、1997年以降の「全国ラーメン職人選手権」3連覇をはじめとする業界内部での確固たる地位の構築と、それに基づく河原さんの活動の数々は、日本のラーメンのあり方を変容させた。それまでの「町のラーメン屋さん」とは異なる、ややハイエンドな顧客層をターゲットにした高付加価値ラーメンとも言うべきジャンルを生み出した点にもそれは明らかだろう。

 今、河原さんはグローバル展開を進めつつある。ニューヨーク進出を成功させ、年内にはシンガポール、2010年にはロンドンに出店する。今後はフランス、中国、タイ、オーストラリア、ロシアにも出店を計画しているという。

 「日本の“食”は世界の中で、2000年に及ぶ伝統を持っています。しかも、四季を感じさせるという特徴もある。そうした日本独自の文化を世界に広めていきたいと思います」

 ラーメンを通じて日本の食文化の特にどういう面を広めたいのだろうか?

 「欧米など諸外国にはない“唇ですする”“喉ごし”を提案していきたいと思っているんです」と熱く語る河原さん。

 夢はさらに広がる。「世界に通用するラーメンを出して、“世界標準”を作りたいです。スターバックスのラーメン版みたいなグローバル展開をイメージしているんですよ」

 ドメスティックに業界の変革を図る段階を脱して、今や、日本文化という視点から日本のラーメンを世界に普及しようとしているのである。

河原さんの革新その2:「自社革新」


 以上のように、日本のラーメン界のリーダーとして業界を牽引し、世界進出まで成功させている河原さんであるが、そうした業界革新の大前提として、河原さん率いる一風堂などのお店それ自体がイノベイティブでないといけないことは言うまでもない。

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