四半世紀にわたって、ラーメン界をリードしてきた「博多 一風堂」。その経営者・河原成美氏はどのような思いを込め、ラーメンを作り続けてきたのだろうか? 彼の人生を振り返りながら、ラーメンに対する熱い思いを紹介する。 [嶋田淑之,Business Media 誠]
「それは入社時点では求めません。他ならぬ僕自身が、『一風堂』をオープンしてから12年後までラーメン作りを天職だと自覚できなかったくらいですから」
「その代わり……」と、河原さんは自らの仕事観を述べ始めた。
「仕事には3種類あると思うんです。生活の糧を得るための仕事、自己実現を図るための仕事、そして社会貢献としての仕事です。幸せの善循環で世の中を明るく元気にしていくのは、まさしく社会貢献としての仕事になるわけですが、そこまでいかなくても入社の時点で少なくとも、自己実現のためにラーメンをやりたいというくらいの気持ちは欲しい」
若い人たちはチャレンジングである反面、未熟な部分も多いと思うが、彼らの失敗に対してはどのような考え方をしているのだろうか? 信賞必罰・失敗の許容・失敗の奨励のいずれだろうか?
「失敗は奨励しています。失敗してこそ、そこに成長があるわけですから。もちろん、その前提には確固たる情熱が必要です」
河原さんが常々口にしている言葉に「見切り千両」がある。短期的な利害得失だけで物事を判断してはいけない。あくまでも長期的な視点に立って、判断を下すべきだという意味である。河原さんの若い人たちに対する姿勢は、まさに見切り千両である。強い情熱をもって真剣かつ誠実に取り組むのなら、短期的には失敗しようが、恐れることなく果敢にチャレンジし成長していってほしいという姿勢だ。
この考え方があったからこそ、当初は海のものとも山のものとも分からず、むしろ不安要素の方が多かった新横浜ラーメン博物館への出店話に際しても、設立準備室の若者たちの尋常でない熱意に打たれ、出店リスクをあえて冒す決意をしたのである。そしてそれが結果的に、今日の一風堂を構築する礎になっているのだろう。
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~「博多 一風堂」河原成美物語3 何を変え、何を守ってきたのか? へ続く~
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「博多 一風堂」河原成美物語
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