日本初、細胞バンクビジネスのミッションとビジョン（１）

一口に皮膚のコピーといっても、そのグレードによってシンプルなものから複雑なものまでいくつかのレベルがある。最も単純なのが表皮部分だけのコピーで、そこから内側へと構造が複雑になるにつれてコピー作りの難易度も高まり、高度な技術が要求されるようになっていく。

「表皮の下にある真皮層までカバーする、さらには血管も取り込む。最終的には色素細胞まで含んだ皮膚のコピーまで作ろうと研究に打ち込んでいました」

北條氏が東海大学医学部で研究にいそしんでいたある日、まさに机を並べて同じを研究に打ち込んでいた同僚が、ベンチャー企業を立ち上げる。やけど治療のための培養皮膚製造を目指す株式会社ビーシーエスだ。

「あっ、先を越されたなあって思ったのが正直な気持ちです。でも、そのビジネスモデルでうまくいくんだろうかという疑問も消せませんでした。培養皮膚そのものが新しい産業になることは絶対間違いない、けれどビーシーエス社の将来については、それほど楽観できないんじゃないかと」

北條氏の予感は的中する。昨年末、巨額の負債を抱え込んだビーシーエス社は資金繰りに行き詰まり倒産してしまった。そのビーシーエス社を結局は北條氏が買い取ることになった。医療でも最先端分野となれば、ビジネスとして成功するのは簡単なことではない。北條氏が立ち上げたセルバンク社は、創業前からとんでもない苦難の道を歩んできたのだ。

⇒次回「企業の価値創造機能とは」へ続く（全四回）

『株式会社セルバンク　関連リンク』
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北條氏のブログ「肌の再生医療専門【RDクリニック三田】ブログ：http://www.rederm.com/blog/

◇インタビュー：竹林篤実/清水優太　◇構成：竹林篤実
◇フォトグラファー：村山裕章　◇撮影協力：ピクスタ㈱　　 　

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