過去2回でご紹介してきた6つの影響力の源、すなわち、 ・賞影響力 ・罰(強制)影響力 ・正当影響力 ・専門影響力 ・参照影響力 ・情報影響力 は、影響の与え手が、なんらかの 「資源」 を持っていることによって発揮されるものです。
ここで、「資源」とは、その人固有の
「強み」
と言い換えることができるでしょう。
たとえば、
・「賞」、あるいは「罰」を与えることができる(賞、罰影響力)
・地位が高い(正当影響力)
・専門知識がある(専門影響力)
・尊敬に値する行動力や好意を抱かせる魅力がある(参照影響力)
・理路整然と話せる、具体例を示せる(情報影響力)
といったことです。
しかし、こうした「資源」を持たなくても
影響力を行使することが可能です。
『影響力を解剖する』
では、与え手が「資源」を持っていない場合の影響力の源
として、次の3つが示されています。
・対人関係影響力
・共感影響力
・役割影響力
[対人関係影響力]
これは、ことわざで言えば、
「虎の威を借る狐」
のようなものです。
つまり、影響力を持つ他人を自分の見方につけて、
影響を与ようとすること。
企業内では、実力のある上司や同僚などに
あらかじめ根回ししておくことで、会議で自分の意見を
首尾よく通そうと画策することがありますが、これは
「対人関係影響力」
の駆使にあたります。
[共感影響力]
端的にいえば、
「泣き落とし作戦」
のこと。
自分の苦境を訴えることによって、
相手の共感(というより「同情」ですかね)を得て、
相手の行動を引き出そうとすること。
たとえば、資金繰りに行き詰まり、倒産目前といった時、
「今の私では、なにもお返しできませんが・・・」
と開き直って頭を下げるしかありませんが、
変にやせ我慢するよりも、
かえって相手が受け入れてくれやすいのです。
この意味で、
「共感影響力」
は、逆説的な影響力です。
[役割影響力]
これは相手との社会的な関係に基づいて、
影響を働きかけること。
たとえば、市民が市役所に対して、
駅前に駐輪場を設置するように要求したり、
あるいは、会社の上司に対して、部下たちが
新規事業の行く末について、明確な方向性を
示してほしいと依頼すること。
すなわち、市役所や上司といった立場において
一般に要求される役割や義務が果たされていないような時に、
市民や部下は、彼らよりもある意味、弱い存在でありながらも、
影響を与えることができます。
もちろん、相手が聞く耳をもっていなければ効き目がありません。
しかし、役割影響力を無視し続けてしまうと、
国(企業)によっては、反乱が勃発し、
「革命」
という体制側にとって最悪の事態を生んでしまうわけですけど。
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2007.08.22
2007.09.10
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。