「ネクタイを買うと、CO2削減に協力できます」、という京急百貨店が父の日に向けて行っている“楽eco”キャンペーン。キャンペーンを始めた理由やその仕組みについて、京急百貨店に聞いてみた。[郷好文,Business Media 誠]
女優の山口智子さん、Jリーグ選手協会、京急百貨店。この3つに共通するのは何?
このナゾナゾ、正解者は多くないはず。ある制度の関係者やサービスの提供者を除けば、まず答えられない問題だ。3者の共通点は“フォレストック認定”。これは、森林のCO2吸収量を購入(カーボンオフセット※)する人に、日本林業経営者協会が認定証を発行するというもの。認定書ナンバーの“003”(下写真)とは最初の認定者である山口さん、2番目のJリーグに次いで、3番目が京急百貨店であることを示す。
※カーボンオフセット……温室効果ガスの削減活動に投資することなどにより、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方。
ネクタイでecoを!
京急百貨店が父の日に向けて打ち出した“楽eco”のキャンペーン中に、ネクタイを買うとCO2削減に貢献できるのだ。仕組みの詳細は後にして素朴な疑問。
「なぜ環境貢献でネクタイなんですか?」
そう私が尋ねると、ハートフルサービス紳士服部用品雑貨ショップの高山咲子セールスリーダーが「クールビズでもネクタイを外せない職場の人もいらっしゃいます。そんな職場の方々もエコに貢献したいという思いはあるはず。それで参加意識を持っていただこうと提案をしました」と答えてくれた。
クールビズが浸透したことで、今や通年でノーネクタイの職場も増えた。今年も開襟オヤジたちが跋扈(ばっこ)し始めて、ネクタイ姿はますますマイノリティになり、ネクタイ売り場は逆風に見舞われている。でも、夏でもネクタイをびしっと決めてクールに働くオトコもかっこいい。「ネクタイのマイナスイメージを払拭してecoに貢献できます」というメッセージを送ることが高山さんの提案だった。
提案したのは、中元商戦まであと1カ月半と迫った4月のこと。当然ながら関係者はあわてたという。経営計画部の成田光治部長補、山下健介マネージャーが大急ぎでフォレストック認定を取り入れた。
フォレストックは低コストで
フォレストック認定とは、日本林業経営者協会が2009年2月から開始した「生物多様性が豊かな森林ごとにCO2吸収量を算定・認定し、CO2吸収量を購入した個人/事業者に認定証を発行する制度」。認定林の森林管理の費用として、1トン当たり1000円(年間)を購入者が負担する仕組みだ。1ヘクタール当たりの管理費用は1万円になるが、これは欧州排出権市場でのCDM(クリーン開発メカニズム)取引価格の2分の1。一括購入して販売商品ごとに分割することでも認定証は発行できる。今年の京急百貨店のキャンペーン“楽eco”では、宮城県刈田郡の森林を対象にしている。
次のページ現場からのエコ意識が根付く
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.07.09
2009.07.14