完全密閉型では世界最大級の野菜工場が、福井県美浜にある。運営するのは京都のベンチャー、株式会社フェアリーエンジェルだ。同社の活躍は政府の目にも留まり、これを機に野菜工場支援策として150億円の補正予算が組まれた。世界の食の未来を考える同社の使命感に迫る。
第2回
「安心、安全を究極まで追求した野菜作り」
■クラス10万レベルのクリーン度
「例えるなら製薬工場並みといえばいいでしょうか。弊社の工場のクリーンさは、相当にハイレベルです」
フェアリーエンジェル社の野菜工場は、いわゆるクラス10万レベル。雑菌やホコリの侵入を許されない製薬工場や半導体生産現場と同じレベルのクリーンさである。徹底したクリーンさが完全密閉型野菜工場の特長だ。
「いわゆる野菜工場には2種類あります。一つは弊社のように外気から完全に遮断された密閉型です。空調はもちろん植物生育に欠かせない光も完全にコントロールします」
虫やばい菌が一切入らないから、農薬の使用もゼロ。できるのは究極の安心・安全な野菜である。無菌状態でパッキングまでした上で出荷されるため、消費者は袋から取り出した野菜をそのまま食べることができる。
「我々が作っている野菜は洗う必要がありません。袋から出して、そのままちぎって食べる。生の野菜って、こんなに味が違うんだねって、驚かれるお客様がたくさんいらっしゃいます」
安全性は折り紙付き、調理に必要な時間も節約できる。何かと忙しい主婦にはありがたい限りだろう。
「野菜工場にはもう一つのタイプがあって、こちらは太陽光を併用します。オランダなどが本場ですが、外気と接するために気候条件によっては温度管理がとても難しくなります」
温度コントロールは野菜工場にとって極めて重要なファクターである。このファクターは、フェアリーエンジェル社ビジネスモデルの根幹にも関わってくる。なぜなら同社の工場設計では、世界中のあらゆる場所で展開可能なことが最重要要件に位置づけられているからだ。
「だから、我々はあえて難易度が高く、コストも割高となりがちな完全密閉型に挑んだのです。このノウハウを固めることができれば、気象条件も立地さえも関係なく、世界中どこにでも工場を建てることができますから」
野菜工場は海外にもいくつかあるが、完全密閉型に取り組んでいるのはまだ日本だけ。その先頭を走っているのがフェアリーエンジェル社だ。
■砂漠でも、南極でもタンカーの上でも
「極端な話、電源さえ確保できれば、我々の野菜工場はどこにでも造ることができます」
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FMO第25弾【株式会社フェアリーエンジェル】
2009.07.21
2009.07.14
2009.07.07
2009.06.30