日本の漫画!マンガ!MANGA!の何が凄いのか?

2009.06.17

営業・マーケティング

日本の漫画!マンガ!MANGA!の何が凄いのか?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

「VOGUE」7月号は、マンガ特集である。その中で、日本で「マンガ」が圧倒的に発展したのは何故か?の答えが、実に、あっさりと披露されていた。

「鋼の錬金術師」「NARUTO」など、世界で受け入れられ、大きな影響を与えている日本のマンガの特長は、いわゆる「マンガっぽいもの」である。
登場人物である女の子は、目が大きくキラキラ輝いて、脚はシュールなほど長く、ウェストはキュッと絞られている。男の子も同じ。まるでマンガの世界から抜け出してきたような主人公達のお話が受け入れられる。「浮世=非現実」こそが、「マンガ」なのである。

そして、その浮世の世界で、非現実的な主人公達が、物語と共に成長していくという複雑なストーリーを構成する。非現実的な主人公達が、凄いリアルな心情を持って物語を展開していく。アメリカンコミックのような勧善懲悪のストーリーでない。

浮世絵を系譜とする「日本のマンガ」は、とても「非現実=マンガっぽい」けど、そのストーリーには、何かしら・・・はかなくて・・・辛くて・・・でも、勇気が出てくる。そんな、世界に通じる不思議な力を擁しているのが、ジャパンクールの代表「日本のマンガ」なのである。

「浮世」とは、「苦しい」「辛い」を意味する「憂き」が本来のかたちで、平安時代には、「つらいことが多い世の中」を言ったらしい。それが、江戸時代に入り「辛くはかない世の中であれば浮かれて暮らそう」という、現世を肯定して生きる享楽的世界観が生まれ、その流れの中で「浮世絵」や「漫画」が現れたのだ。


非現実に走る世界へのアンチテーゼ。


世界を巡るお金のニュースや戦争の実態などなどを耳にする度に、「マンガっぽいなぁ」と思う。現実が、非現実に近づいてきているのが、現世である。こういう浮世に、必要なのは、現実に沸き上がってくるような力である。それがなくては、この世は良くならない。

だから、アメリカを代表する映画俳優クリントイーストウッドは、映画を作るのだと思う。ハリウッドらしい非現実的な勧善懲悪の刑事もの「ダーティーハリー」シリーズで一斉を風靡した彼の監督作品は、実に、趣深い。『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』『硫黄島からの手紙』『グラントリノ』、、、アカデミー賞候補となる一連の作品群には、本当の「浮世」になりつつある世界へのアンチテーゼを読み取ることができる。

日本のマンガも同じである。
日本の政治家の誰よりも、世界に対して雄弁である。

血税117億円を使って東京に「国立メディア芸術総合センター=漫画の殿堂」を作るという経済対策が実行されるという。国内に作る大きな箱物に、日本のマンガ文化を納めても、大きな発信力は持たないだろう。どうせやるなら、ラスベガスに江戸城のような「マンガのデンドー」を作ってみてはどうだろうか。
そのカジノでは、日本のアニメの主人公達に扮したディーラー達が、世界各国から集まるお金持ち達を楽しませ、ギャンブルに興じる。そして、そのお金で遊ぶ虚しい物語も共有し、明日へ生きる糧や夢を与える。これぞ、ジャパンクールではないだろうか。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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