~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
アルミの総需要は現在400万トンといわれているが、まだまだ
伸びる可能性がある。 リサイクルも容易に可能で、環境にも
やさしい。 マグネシウムやマンガン、亜鉛などの他の金属と
混ぜて合金にすればもっと機能が良くなり、新しいアプリケーション
も開発されることもわかっている。
アルミニウムの原料となるボーキサイトという鉱石の埋蔵量も
オーストラリアやベネズエラの地下に250億トン眠っており、
まだ1億トンしか使っていないので、資源としても十分な量が約束
されている。
つまり、金属として非常に将来性のある有望なものなんだ。
ポイントは、日本非鉄金属が何もしないで黙っていてこの需要の
伸びに出くわしたのかということなんだ。
君の部が、何故あのような大型圧延設備を受注できたかということ
と密接に繋がるんだが、実は、君の先輩の関と俺で、日本非鉄金属
という大日本商事のお客様である、さらにいうと、その先のお客様
の市場に対してある仕掛けをしたからなんだ。
言い換えると、お客様のその先のお客様の新たなニーズに目を
つけて、さらにウォンツとデマンドを創出し、それらと日本非鉄
金属の経営戦略と結び付けることに成功したからなんだ」
宮田は、目からうろこが一枚一枚はがれ落ちるような思いであった。
商社の本質がだんだんとわかってくるような気がして飛び上がりたい
ほどうれしい気分だった。
この際、聞くは一時の恥と自分に言い聞かせ、柴田が言ったマーケ
ティング用語に関する質問をした。
「柴田さん。 ニーズとウォンツ、それとデマンドの違いが良く
わからないんですが・・・」
「森永もよく聞いとけよ。 お前ら、毎晩赤坂で飲んだくれて、
女の子を追い掛け回しているだけじゃだめだよ。 たまには
コトラーの本でも読まないと。
マーケティングの世界的権威でアメリカの経済学者であるコトラーが
≪ マーケティングとは、交換過程を通して、ニーズとウォンツ
を満たすことを意図する人間の活動である ≫
と定義している。
この中のニーズとは、人間が生活を送る中で、必要なある充足状況が
奪われている状態のことをさす。 一方ウォンツとは、そのニーズを
満たすある特定のものへの欲求、欲望のことをいう。
さらに、デマンドとは、購買能力と購入意思に支えられたある特定の
製品に対するウォンツであると定義しているんだ。
それでは君たちに質問です。
関が目をつけたニーズとはいったい何だったでしょう?」
突然、そう問われて面食らう二人であった。
次回に続く。
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商社マン しんちゃん。 走る!
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