【弊著・予告最終編】欲望は、人を惑わせもするし、成長させもする。欲の持つこの陰と陽の2面をいかに自己コントロールするかが、よりよく働く上で重要な分岐点となる。
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「平和とは、個人的満足を超えたところにある理想の目標と、魂の活動との調和を意味する」
「平和の体験によってひとは自己にかかずらうことをやめ、所有欲に悩まされることがなくなる。価値の転換がおこり、もろもろの限界を超えた無限のものが把握される」。
(ホワイトヘッド『観念の冒険』)
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「自己実現の達成は、逆説的に、自己や自己意識、利己主義の超越を一層可能にする。それは、人がホモノモスになる(同化する)こと、つまり、自分よりも一段と大きい全体の一部として、自己を投入することを容易にするのである」。
(エイブラハム・マスロー『完全なる人間』)
私のような凡人が、抹香くさい教訓をたれることはこれ以上差し控えたいと思いますが、
それでもやはり、
人間が真摯に熱中して何かの仕事を成し遂げようとするとき、
大我的で調和的な、おおいなる何かに、必然的につながる、抱かれる
という摂理は普遍的に存在するのだと思いますし、
私個人も、そのかけらを体験するところでもあります。
よりよく働くためには、哲学や宗教的な心持ちが要ります。
また、よりよく働けたときには、結果的に
何かしら、哲学的・宗教的な経験をしてしまうものです。
その哲学的・宗教的な経験こそ、私は『仕事の幸福』であると思っています。
私は、ビジネス雑誌記者を7年間やって、
成功者と言われるさまざまなビジネスパーソンやら経営者やらを取材しましたが、
仕事や事業を私欲の道具にして、
ゲーム感覚で勝ち上がり、短期的に浮き上がる人たちも多く目にしてきました。
彼らが得たものは「仕事の快楽」であって、
「仕事の幸福」ではないように思います。
働くうえで、
欲望を「開く」、または「制する」ところに仕事の幸福はあり、
欲望を「貪る」、または「怠ける」ところに仕事の幸福はない――――
これが拙著で打ち出した結論めいたものです。
それでは、実際の本『“働く”をじっくりみつめなおすための18講義』で
お会いできることを願いつつ。
■著書案内
本著作のまえがきと目次、18枚のメインスライドを収めたドキュメントを
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新著サマリー
2007.08.07
2007.07.27
2007.07.21
2007.07.14
2007.07.11
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。