愛読していた『エスクァイア日本版』が休刊の方針を示したことにショックを受けた筆者。エスクァイアに限らず、休廃刊する雑誌や自己破産を申請する出版社は後を絶たない。出版不況を生き抜くにはどうすればいいのか、その策を考えてみた。 [郷好文,Business Media 誠]
本屋はつまらん!
一方、本屋がつまらないのも売れない原因のひとつだ。
もはや本屋は“目的買いの場”になりさがった。Amazonや書評などでチェックした本を、「店頭で現物確認する場」が本屋だ。品揃えの主導権をネットや流通に握られている。「買いたい!」と思わせるほどPOPに工夫のある書店、独自の選書眼のある書店はまだ少数派である。だから書店をぶらりと歩いても、知的好奇心でムラムラすることがなくなった。「棚と平場の場所貸し業」では、衰退する百貨店と同じ運命をたどる。
Amazonのカスタマーレビューに習い、「読者参加の場」を作ったらどうだろうか。その道の目利きをアドバイザーに起用し、専門書や趣味本コーナーの編成を任せる。編み物のベテラン、お菓子づくりの鉄人、昆虫博士、鉄男に鉄子、自転車狂、文具の達人。売り手よりもお客さんがずっと博学だ。たぶん、「タダでも売場づくりをしたい」という人はたくさんいる。
出版業も本屋も商売ではあるけれど、どこかしら文化を担っている。だからその栄枯盛衰ぶりは、その国民の文化バロメーターである。しかし、商売である限り文化庁の保護は受けられない。1人1人の知恵で、この状況の歯止めをしなければならない。
クリエイター支援事業:『くらしクリエイティブ "utte"(うって)』
著書:
・「ナレッジ・ダイナミクス」(工業調査会)
・「21世紀の医療経営」(薬事日報社)
・「顧客視点の成長シナリオ」(ファーストプレス)
ブログ:「マーケティング・ブレイン」
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