自動車業界に逆風のニュースが多い昨今、明るい話題を振りまいているのが本田技研工業のインサイトだ。“カジュアルなハイブリッドカー”として登場したインサイトの実力は、いかほどのものなのか。GWに高速道路のETC割引を利用して、仙台から東京までロングドライブ。特徴的なメーター周りも動画で紹介しよう。[神尾寿,Business Media 誠]
2008年の新車販売市場は、300万台の大台を割る約289万台という結果だった。都市在住者を中心とした「クルマ離れ」、2008年9月以降の金融不況の影響などもあり、国内の自動車市場はかつてない逆風の中にある。
そのような中で、久しぶりに明るい話題を振りまくクルマとなったのが、本田技研工業の「インサイト」だ。5ナンバーサイズのコンパクトボディに先進のハイブリッドカーシステムを搭載し、ベーシックグレードは200万円を切る価格を実現。20~30代の若者や女性、若いファミリー層にも手が届く“カジュアルなハイブリッドカー”として登場し、人気を集めている。
その後、トヨタ自動車が新型プリウスの情報を先行発表したことで、インサイトの話題性はやや薄まってしまったが、それでも「トヨタ以外から、本格的なハイブリッド専用車」が出たことは意義深い。インサイトとプリウスともに価格帯が200万円前後に収まったこと、さらに景気振興策と連動したエコカー減税などの効果もあり、今年はハイブリッドカー元年になりそうである。
では、インサイトはどれだけ実用性があり、魅力的なのか。今回の時事日想では特別編として、GW中の東北道をインサイトでロングドライブ。東京~仙台の往復約800キロのレポートと、都内で試乗した際の使い勝手やインプレッションをお届けする。
インサイトとプリウス、ハイブリッドシステムの違い
さて、ここでハイブリッドシステムの現状について、簡単におさらいしておこう。インサイトとプリウスは、同じハイブリッドカーといってもシステム構成が大きく異なる。
インサイトの心臓部である「ホンダ IMA(Integrated Motor Assist)システム」は、エンジンと電気モーターのふたつの動力源が並行して駆動する“パラレル方式”を採用。「エンジンの足りない力をモーターがアシストする」というコンセプトで作られている。あくまで主役はエンジンだ。
一方のプリウスが採用する「Toyota Hybrid System」では、動力分割機構を搭載する“スプリット方式”を採用している。これはエンジンとモーターの動力を状況に応じて柔軟に切り替え/組み合わせて利用し、発電量と駆動力をより効率良く制御するものだ。主役はエンジンとモーターの両方だが、稼働時間でみればモーターの方がより積極的に使われる。
パラレル方式とスプリット方式のどちらが優れているのか。これは自動車業界の中でも議論が分かれているものであり、一概に言い切ることは難しい。
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ホンダ「インサイト」でロングドライブ!実用燃費/使い勝手は!?
2009.05.28
2009.05.26