商社マン しんちゃん。 走る! (3)

2009.05.16

営業・マーケティング

商社マン しんちゃん。 走る! (3)

三宅 信一郎
株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。

「ここでは年間100万トンのアルミ圧延品を製造
している。
圧延品というのは、主にビール缶や飲料缶などの材料に
なるものだ。
今日は、制御系電気設備を担当する大手電機と大型
圧延機を納入するJHJという重工メーカー、それとプラント
据付を担当する関東プラント建設工業が一同に介しての
キックオフミーティングが行われるわけだ。

我々大日本商事は、その元請業者という立場で、
日本非鉄金属工業からすると、唯一の発注先企業だ。
大手電機、JHJ、関東プラント建設への発注は、全て
大日本商事が行う。
要は、大日本商事が全てこのビジネスを取りまとめた
ということになる!」

< 取りまとめた・・・? 何を? どうやって? >

会議室には、発注先である日本非鉄工業側の圧延部長、
設備部長以下、担当技師ら10数名、及びそれぞれの
会社から営業責任者、技師らが各社5~8人ずつ
ずらりと勢ぞろいしていた。

大日商事からは、重工プラント本部本部長の吉田、
関、宮田の三人だけであった。

我々の到着を待って、日本非鉄金属 圧延部長が口火を
切った。 

「本日は、わが日本非鉄金属工業 鹿沼工場の命運を
決するともいえる第3冷間圧延機プロジェクトの
キックオフミーティングのために遠路はるばるお越し
いただきましてありがとうござました。 

この冷間圧延機、いわゆる冷延機が稼動しますと、
生産量は20%アップ、品質の大幅な向上が実現可能
となり、わが社におきましては業界におけるトップの
地位をゆるぎないものにすることができると、弊社
役員一同も大変期待しているプロジェクトであります。 

今回、このプロジェクトを見事に取りまとめて
いただきました、大日本商事さんの重工プラント
本部本部長吉田様からお言葉を頂きたいと存じます」

吉田本部長の挨拶が終わり、本部長、部長クラスが
部屋からぞろぞろと出て行くと、早速担当者レベルの
会議となった。

最初から、机に置かれた大きな図面を元に、機械と
電気、据付関係の技術や建設用語が飛び交う。

議事録を書くにも、飛び交う言葉がまるで英語の
ように聞こえ、何を書くべきなのかどうか、どの単語や
センテンスがキーなのかどうか、何が大事で大事じゃ
ないのかなどの判断どころか、何も聞き取れない。

2時間たってたった数行の言葉しかかけなかった。

宮田はその紙切れを恐る恐る関に見せると、いつもの
雷が落ちた。

「ばっきゃろー! お前こんなの幼稚園児でももっと
ちゃんとかけるぞ。
もっと耳の穴かっぽじって聞け!」

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

三宅 信一郎

株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

事業力強化・新規事業開発・創業支援コンサルタント 自動認識基本技術者 (JAISA:(社)日本自動認識システム協会)認定

フォロー フォローして三宅 信一郎の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。