任天堂の岩田聡社長と宮本茂専務は4月9日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見を行った。ビデオゲーム市場動向や海外でのニンテンドー DSiの販売状況、『Wii Sports Resort』の発売日や京都文化博物館で実施されるニンテンドーDSを利用したガイドサービスについても言及。会見の内容を詳細にお伝えする。[堀内彰宏,Business Media 誠]
岩田 任天堂はビデオゲーム屋なので「ゲームのできないDS」というのは考えたことがありません。ゲームという遊んだ人を笑顔にすることのできる非常にパワフルなエンターテインメントを、1人でも多くの世界中の人たちに理解してもらいたいので、「触るきっかけはゲームではなくてもいいですが、ゲームは触ってほしい」と思っていますから。
そして、我々のように「5歳~95歳まで」とか「ゲーム経験のある人もそうではない人も」という形で幅広いお客さんの層をターゲットにしようとすると、あまりたくさんの種類を作ってしまうと今度はお客さんが「一番正しいものを選ぶためには、どうしたらいいんだ」ということになってしまいます。選択肢というのは「多すぎると選べなくなってしまう」という問題もありますから、我々は「少数の選択肢でお客さんにベストなものを比較的易しく選んでもらう」ということに重点を置いているので、おそらくiPodと同じビジネスモデルにはならないでしょう。
――DSを学校で使うとなると必ず持っていない人が出てくることになると思うのですが、そうした時は学校や政府が補助金を出した方がいいのでしょうか? また、定額給付金でDSを買ってくれる人はどれくらいいると思いますか?
岩田 私は「エンタテイメントの業界はガバメント(政府)を頼ってはいけない」と思っています。ですから、定額給付金でDSを買ってくださる方がいればもちろんうれしいですが、「皆さんが一番価値があると思うもの」に使われるべきだと思います。
「あらゆる学校でDSを全員の生徒たちが持ってくることを前提にする」ということは壮大な(笑)ビジョンだと思います。そこまでには時間もエネルギーもかかるでしょう。
そもそも長年の間、学校から見ればビデオゲーム機というのは敵のような存在だったわけです。ですから、今のように「学校の教育に使いたい」と言っていただけたり、現実に一部の学校が「DSを授業で使って成果を上げている」という報道がなされたりするようになるというのは、我々長年敵扱いされていた側からすると奇跡のようなことがもうすでに起こっているのです。ここから「あらゆる学校で全員に持ってきてもらう」というところまでいくにはまだまだ時間がかかると思うので、その中で「(DSを)持っていない人がどういう風に扱われるべきなのか」というのは考えていくことかなとは思います。
宮本 少し僕が言い過ぎたかもしれませんが、クラスルームで使う場合には「教室の人数分の機械をクラスで準備する」とかいろんな対策を考えています。公共のスペースで持ってきている人だけが受けられるサービスでは、「(サービスを受けるために)できるだけ1人1台買ってほしい」と(思っています)。しかし、「学校では(1人1台買ってほしいというのは)なかなか難しい」という現状も考慮したシステムを作っています。
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