先週、麻生内閣の新経済対策の一つとして、アニメやマンガ、ゲームの「殿堂」の創設に文化庁が乗り出したというニュースが流れた。総工費117億円。血税が投入される。 これに、断固反対である。 「政府と漫画」は、そもそも相容れない。
決して、国家が用意した箱から拡がったりはしない。
ポップカルチャーの表現者及び関係者は、その箱に納まることを望んではいないはずだ。
漫画は、自宅のソファーやテーブルの上に転がってナンボのものである。好きな漫画は、ベットの上で、電車の中で、何度も読み返され・・・ボロボロになっていく。
漫画は、国家という共同体のものではない。
決して連帯しない、孤立したものである。
だから、自由なのだ。
共通した答え合わせができないからこそ、ポップカルチャーなのだ。
だから、日本の漫画を世界に発信しよう・・・
そんな国家の発する全体主義的な号令とは、基本的に相容れない。
行政の仕事は、国民に「きっと、何も違わない」ということを、広く知らしめ・・・平穏と安心を創造することだ。
しかし・・・それは・・・
きっと何もかもが違う。何もかもが違う・・・。
そうやって、ポップカルチャーは、生まれている。
そして、これからも生まれてくる。
麻生内閣の新経済対策の一つである「漫画の殿堂」構想が、すんなり通り・・・それが、選挙でも評価される日本であるなら・・・・この国の、ポップカルチャーもたかがしれている。
血税117億円が注ぎ込まれる国営の「漫画喫茶」構想に、断固反対である。
絶対に、違う。何もかもが違う・・・。
もし、同じ予算を使うのであれば・・・青色吐息の出版業界を救うべきである。優秀な編集者を育てる人材育成に資金を注入すべきである。
ちなみに、総務省主催の「日本ポップカルチャー政策プロジェクト」なるものが2002年9月に発足し、錚々たる委員会メンバーで動いた経緯がある。しかし、3回ほどの勉強会を開いた程度で、2004年11月以降の活動報告は更新されていない。国が考えるポップカルチャーとは、こんなものだ。長くは続かない。
偉い人達が集まって議論し、活動を考えた時点で、それは、ポップカルチャーではなくなる。やってることが矛盾している。
政策から外れたところから、真のポップカルチャーは、生まれてくる。そのことに気づかないと・・・何をやっても「日本ポップカルチャー政策プロジェクト」の二の舞になる。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。