仮説構築の技術(7)~「帰納法」の本質を知る

画像: kleuske

2009.04.09

仕事術

仮説構築の技術(7)~「帰納法」の本質を知る

家弓 正彦
株式会社シナプス 代表取締役

今回は帰納法についてです。 以前書いたように、帰納法はいくつかのサンプルとなる情報をもとに、共通するルールを見出して、結論(仮説)を導出する考え方です。

■ ということは「サンプル」はできるだけたくさん欲しい!


情報は多ければ多い方が良いのでしょうか?
それでは、以前お話しした「Quick & Dirty」の方針に反します。
ここでは、やっぱり情報コレクターになるな!と申し上げたいところです。

せっかく仮説思考をとろうとしているのに、
片っぱしからサンプルをたくさん集めていたのでは、本末転倒です。

そこで、まずは「情報収集を禁止」しましょう!(笑)
極端な言い方ですけどね、、、(^^)

まずは、既知の情報だけでも「一次仮説」を構築するには十分です。
皆さん、一応ビジネスの現場にいるわけですからね~

そして、一次仮説オプションがいくつか抽出されたら、
その絞り込みをするために必要な論点を考えましょう。
ここで言う論点とは「仮説を絞るために知りたいこと」、
つまり「必要な情報は何か?」ということですね。

ちゃんと、今入手すべき情報を明らかにしないと生産性は上がりませんよね。

■ 情報収集論点を整理する


必要な情報の構造を明らかにするのには「イシューツリー」が有効です。
見た目はロジックツリーと同じですが、
ロジックツリーが要素分解を目的としていたのに対し、
イシューツリーは仮説を論証するために必要な論点で構成しています。

(例)
仮説「わが社は新規事業Xを立ち上げるべき」
 →(イシュー1)わが社には新たな事業が必要か?
 →(イシュー2)X市場は魅力的か?
 →(イシュー3)X市場の既存競合に勝てそうか?

こんな具合に、明らかにするべきことをブレイクダウンします。
そして、さらにサブ論点に分解できそうです。

(イシュー2)X市場は魅力的
 →(サブイシュー1)わが社にとって十分な市場規模か?
 →(サブイシュー2)今後の市場成長性が見込めるか?

こうやってツリー構造でイシューが構成されていきます。

■ 必要条件と十分条件


仮説が正しいと判断する材料には「必要条件」と「十分条件」があり、
その点も留意しておくとよいでしょう。

必要条件:条件Xが成り立たなければ、結果Yは絶対に成り立たない

つまり、Xが成立しても、Yは成り立つかもしれないし、
成り立たないかもしれないのです。

十分条件:条件Xさえ成り立てば、結果Yが必ず成り立つ

こちらは逆に、Xが成立しなくても、Yが成り立つ可能性を残しています。

つまり、仮説を論証するためには、この2つを組み合わせて、
「必要十分条件」を満たす情報を入手する必要があるわけですね。
ただ、一気に正解を求めるというスタンスではなく、
少しづつ仮説を絞り込んでいくという気持ちでないと、
また、膨大な情報コレクターになってしまいますので、ご注意を!(^^)

「帰納法」は分析者の視点によって大きく解釈が異なります。
まさに、分析者の手腕が問われる考え方ですね。
皆さん、腕を磨きましょうね。(^^)

株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

家弓 正彦

株式会社シナプス 代表取締役

マーケティング戦略を中心としたコンサルティング、マーケティングに特化した教育プログラムの提供を行っています。

フォロー フォローして家弓 正彦の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。