高橋がなり・国立ファームの今後の事業戦略

2009.03.24

経営・マネジメント

高橋がなり・国立ファームの今後の事業戦略

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

日本の農業を取り巻く問題には様々なものがありますが、 3年前、「国立ファーム」を設立し、日本の農業界に殴り込み をかけた高橋がなりさんが解決しようとしている最大の問題は、 「優れた農産物を生産している農家が報われない」 ということだそうです。

と小売店から言われたそうです。

しかし、お客さんがSOD扱いの商品が欲しいと店に
やってくるようになった今、SODの品揃えを失うわけに
いかない小売店は、もはや無理な取引は言ってきません。

同様に、消費者が、

・「国立ファーム」の野菜がほしい

また、例えば

・斉藤さんの作った「にんじん」がほしい

と指名買いしてくれるようになれば、
生産者と流通業者の立場が逆転します。

小売店としては、

売ってあげるのではなく、
ぜひとも商品を売らせてほしい

ということになるため、
それぞれの農産物の品質に相応しい価格設定が
可能になるというわけですね。

そこで、がなりさんは今後、
契約している篤農家をテレビなどのマスメディアに
今後積極的に登場させ、知名度、ブランドイメージ
の向上を図ります。

彼らの中には、早晩、「カリスマ農家」として
脚光を浴びる人も出てきそうです。

また、直営の野菜レストラン、

『農家の台所』

では、篤農家が作ったおいしい野菜を味わってもらい、
「ブランド体験」を提供すると同時に、野菜にもさまざまな
品種があり、それぞれ味が違うこと、また、どんな野菜が
おいしいのかといった、野菜についての知識を伝える、

「消費者教育」

の場としての活用を強化していくそうです。

『農家の台所』1号店の国立は、
いまだ赤字だそうですが、2号店の恵比寿店は
マスメディアで頻繁に取り上げられ、
たちまち人気店となっています。

今後、都内各地に出店が予定されている

『農家の台所』

は、「商品ブランド」として相応のブランド力を
形成しつつあるため、今後、レストランだけでなく、
食に関わる様々なパッケージ商品や惣菜販売などへの
横展開を考えているようです。

また、『国立ファーム』は、
ここに頼めば、篤農家、カリスマ農家のおいしい
農産物が手に入るというイメージ、すなわち

特選野菜の統一ブランド

となることを狙っているそうです。

がなりさんは、
街中のスーパーで安く手に入る野菜を
否定しているわけではありません。

数百円で食べられるファーストフードから、
数万円のカリスマシェフの店がある飲食業界のように、
農業界にも品質や価格、サービスに多様性が必要だと
考えているのです。

そして、がなりさんは、

「にんじん1本1,000円でも欲しい」

と消費者に思ってもらえるような篤農家を
生み出すことで、農業に対するネガティブな
イメージを払拭し、

「農業はかっこいい」

と人々が考えるようになる、すなわち、

農業を憧れの職業にすること

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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