ここ数年、我が家で話題になっているラジオ番組がある。福岡の某小学校に通う小学三年生の娘が、学校でその話題をしたところ・・・実に、6人中4人が、その番組を知っていたというのだ。「安倍きゅゅゅん」に「刈谷ドS」と呼び合うラジオドラマに、子供達が反応している。これはこれは、企画屋として見逃せないぞ。
この番組、よくよく調べてみると、なるほどなのである。絶大な人気の理由がマーケティング的にちゃんとある。そして、「NISSAN あ、安部礼司」は、クロスチャネル戦略の好例となっている。NISSANも、この番組には、大ナタは振れないのじゃないだろうか。そうであることを切に願う・・・。
ウィキペディアへの書き込みも多く、出演するキャラクターが詳しく書かれている。
主人公である安部礼司(あべ れいじ)は、1971年10月10日生まれ、血液型:A型、静岡県静岡市駿河区用宗出身、名前の由来は”平均”・”普通”を意味する「アベレージ(average)」。「フツーなサラリーマン」。浪人生活を経て、日本大学経済学部卒。大学時代の同級生で現在製薬会社勤務のさとしによれば、大学時代の安部は今よりもイケていたらしい。大日本ジェネラルで営業特別推進課チームリーダー(2007年4月に営業特別推進課に異動した際に大場部長から任命された)を務め、コンテンツビジネス部が復活した後も引き続きチームリーダーとなっている。
失敗した時などに「あたっ」と言うのが口癖。
人生において大事なことは全て漫画で学んだと豪語している。
番組のレギュラー陣は、
元同僚で新婚の奥さんの、安部 優(あべ ゆう)(旧姓:倉橋)。
同僚の、飯野 平太(いいの へいた)。
元同級生で東大出身の友人・刈谷 勇(かりや いさむ)。
上司の、大場 嘉門(おおば かもん)。
新入社員の、西 久美子(にし くみこ)。等々・・・
それぞれのキャラクターの作り込みが丁寧であるうえに、声優も含めて作っているスタッフが、ほんとに愛着を持って番組に取り組んでいる真摯な姿が想像できる。
マーケティングの観点から言うと、主人公である安倍礼司は、その名の通り・・・NISSANがターゲットして狙う「平均的サラリーマン」像を描き出している。番組内で、安倍礼司と安倍優夫妻が乗るべき安部家の車を決めてもらう企画が行なわれ、投票の結果、日産・キューブに決定した。NISSANの主要車種の平均的購買層の共感を獲得するのに成功している。
番組内では、N社(実際のスポンサーである日産を示す)から製作依頼を受けて、大日本ジェネラルが「ご当地ナビ」を開発するという設定で、全国の観光スポットや名物情報の募集と提供をウェブ上で行うなどの、ラジオとウェブを連動させた試みを行ったり・・・。
ドラマ内で登場人物たちが製作したステッカーを、リアルな日産のディラーで販売するなども行われ、その「買いにディーラーに寄った」話しが、リスナー達の間でやりとりされたり・・・。
次のページ頼むよっ、安倍きゅゅゅゅゅんっ・・・。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。